March 30, 2019

「目標はこれ!」と答えるのは…意外に難しい

「レッスンするにあたって、何か目標ってありますか?」

吠えや
咬みで
困ったからトレーナーや訓練士に相談したとき

こんな質問をされたら、戸惑いますか?
それとも意気揚々と
「私はこういう生活が理想です!」と答えますか?

私はトレーナーとして「問題解決」のための「間近な目標」を提案するのが仕事です。

ですが、私の提案する目標と
飼い主さんが望む目標とが
一見、同方向を見ているかが分かりづらいと感じることがあります。

お悩みが深刻であればあるほど
「(今はできなくても、いつか)愛犬と一緒にこれができたらいいな」
「うちのコはこんなことが好き」
という話はなかなかでてきません。

でも、本当は、咬みや吠えの解決が望みではなくて
犬と一緒の、何か「こんなことがしたい」がきっとあるはずです。

お家に訪問してお話をお伺いする中で、ふとそんな話題が出てくるようになると
「未来の目標」と「今の目標」をきちんとつなげられるよう
再度「どうしてこの練習をするのか」を説明することができます。

少し場面は変わりまして。
先日、広い公園に、相棒犬と一緒に訪れた私は
その公園でのワンコのレッスンで何の練習をしようと悩んでいました。
「何の練習をしたらいいんだろう」
「何の練習をしたら役立つだろう」

あっちをうろうろ
こっちをうろうろ
周りをキョロキョロしながら歩く私と
その横をなんとなく、とぼとぼ歩く相棒犬
不審な動きをする飼い主をちらりと見上げます。

私は「これ」という答えがでないまま
とりあえず芝生に座ってみました。
私がふーっと息を吐いて伸びをすると
横に座っていた相棒犬がゴロンと寝ころびました。
「こんないい天気で、広い芝生がある場所でなんなら、何もしたくないな」
ひとりごちた時、ふとそれが目標かもしれないなと感じました。

トレーニングって、けっこう単調な作業だったりします。
犬の状態を観察して
取り組みやすい「行動」を見つけて
それを強化する。

何か難しい状況下での練習では
その難しい要素をちょっと横によけてから
できる行動を見つけていく。

それから、もう一度犬の状態を観察して、うまくいっているかどうか確認。

うまくいっているなら、少しだけステップアップ。
うまくいっていないなら、少しだけ調整。

目標があると、具体的にステップを刻みやすいのであった方がいいことが多いです。
でも、たまには目標も、目的地もないような時間があってもいいのかもしれません。

問題解決のためには
本当の目標を見つめなおす時間と
目標なんて考えないで過ごす時間を
設けてみませんか?

という提案でした。

わたしのたまの「何もしない」の日。
相棒犬のおふとんを天日干ししながら
イヌを芝生に干します。