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2015年9月22日

目標物という考え方と、イヌのトレーニング

家庭犬のトレーニングに役立つ科目として

私自身が愛犬と練習したり
個別レッスンやパピークラスの練習に組み込練習が3つあります。

 ・マット(室内でくつろぐ練習)

 ・タッチ(ママの手に鼻をつける→オイデの基礎にもなります)

 ・オフ(物を放す、物から離れる、意識のオンオフの切り替え)


私が、これらのイヌのトレーニングとしてピンと来ないカタカナ言葉を
初めて聞いたのは、10年前、アメリカのサンフランシスコにいた時でした。

今回は、そのうちの2つ「マット」と「タッチ」についてのコラムです。

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「マット」は
イヌが「足」を使って「マット」を的(目標物)にするという行動です。
簡単に説明するなら、「マットの上で伏せることを教えます。
伏せる行動と組み合わせるので

当時の私は

「フセ」と区別がつかないんじゃないかなぁ・・・
どうしてわざわざ「マット」を使う必要があるんだろう・・・
と思ったことを覚えています。


また
「タッチ」は
イヌが「鼻」使って「人の手」を的(目標物)にするという行動です。

この練習を初めて見た時も

どうしてわざわざ鼻を使わせなきゃいけないんだろう・・・
オイデを教えたいなら、正面にオスワリさせる呼び戻しを教える方が効率的なんじゃ・・・
と首を傾げたことを覚えています。


今思うと
あまり素直なトレーナー見習いではなかったんだなぁと思います。

ただ
「どうしてそのステップを入れて教える必要があるのだろう?」
といつも気になっていたので

「タッチ」の練習
「マット」の練習
が組み込まれているグループレッスンの手伝いをしながら
サンフランシスコSPCAのトレーナーさんの説明をノートに取るようにしてみました。

まだ、英語が片言だったので、メモも殴り書きです。
全文書き留めることはできませんが
「ターゲットする(targeting)」という単語が繰り返しノートに残りました。

ターゲット(target)とは
標的にする、目標物を目指して動く、といった意味の動詞です。


目標物がある状態(ターゲットするものがある状態)だと
行動をとり易い

ということに対して
「なるほど!そういうことかぁ」
と私が納得したのは、実のところ、帰国した後でした。

ドッグトレーニングの勉強しながら
サンフランシスコに滞在していたのは4年近くあったのですが
その間ずっと

「なんとなくわかる気もするけど・・・なんでだろうなぁ」
と当時悩んでいたこと、ふと思い出しました。

旅行に行くと時に、車のナビの設定には「目標地」が必要なことは明らかです。
でも、運転をするときに、ハンドルを握ることが「ハンドルを目標物」にして操作すると言われても、私にはピンときませんでした。

また、ジュースを買いたい時に、「自動販売機のボタンを目標物」にして押せ、と言う人がいたら、この人は一体何を言い出すんだと思ってしまうでしょう。

ですが、ここで視点を少しだけ変えてみます。
仮に、車の運転をまったくしたことがない宇宙人に、車の運転を1から教える場合は、まずはハンドルを握ることから教えるはずです。(もしかすると、車のシートに座ることから教えなければいけないかもしれませんが)ハンドル以外の部分をいくら操作しても、車の方向を変えることはできません。

また、自動販売機がない国の人が、日本に遊びに来て、自動販売機でジュースを買いたいなら、どこにコインを入れるか、どのボタンを押すかといった、「どこ」も大事な情報です。
ボタンではない、例えば、ジュースが見えるガラスの部分をいくら押しても、ジュースは出てこないでしょう。

何かを目標物に動くことは
私たちは無意識にやっていることも多いし
特別な「ターゲット」がなくてもいい場合もたくさんあります。

ただ、最初ははっきりとした「正解の場所」があった方がやり易いのだと思います。

イヌにとっても
それは同じで

「この場所で」ということが
はっきりわかっているだけで
同じ行動も、とり易くなるようです。

そういう観点で見てみると
クレート(ハウストレーニング)も1つのターゲットトレーニングです。
「自分が落ち着いていられる場所」
という「分かり易い場所」を提供するために

クレートや
ワンコ専用のベッド
を設けるのは、そういう意味もあるのだと思います。