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2024年11月26日

ふと浮かぶ疑問は、犬のトレーニングに必須要素

こんにちは。トレーナーの馬場です。

犬のお散歩課題や室内での過ごし方、犬のお留守番課題のお手伝いをしています。

 

みなさんは「AIに聞いたら、答えてくれる質問」って言葉聞いたことありますか?

あまりいい意味では使われていないということを、私は最近まで知りませんでした…()

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「どうして〇〇?」

 

「△△って何?」

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1つの物や事象について「なぜ」や「何?」の疑問形をくっつけるだけの簡単な質問は、ややもすれば子供っぽいと思われがちです。

 

私は会社員時代に「あなた、あまり考えないで質問してるでしょ?」と上司に諭されて、恥ずかしい思いをした経験が多々あります。今でも時々ぼーっと「それは何?」と聞いていて「またやってる()」と長く付き合いのある友人が笑ってくれています。

 

さて、質問についてお話ししたいと思ったのは、パピークラスよりも個別レッスンの方が飼い主さんからはいろんな質問が出るからです。周りの目が多ければ多いほど、子供っぽいと思われるリスクを考えれば当然嫌な気持ちになります。

 

ですが犬のトレーニングに関してだけは、その時浮かんだシンプルな質問が一番大事です。

 

こんなこと聞いていいのかな?

こんなこと質問したら「自分で調べたらいいのに」と思われないかな?

 

そんな心配は無用です。なぜなら、シンプルな質問が浮かぶということこそ、大事だから。

 

「犬が嫌なことや怖いことって何だろう?」

「こんな時にこういう動作をしたけど、本当に怖かったからだろうか?」

 

当たり前と思っていることが、もしかしたら違うかもしれないと気づくことは、人がおおっと感心するような質問をするよりも何倍も大切です。子供っぽい質問を封じたら、疑問に思うこともやめて「当たり前」を更新しないことがあるからです。

 

1つ例を挙げたいです。

愛犬が自分を咬んだ。大きな怪我ではなく、多分もう起こらないと結論づける。

「怖かったんだな」と感じて、嫌なことをしないようにする対応をするとしましょう。でも「あなたが想像する犬が嫌なこと」と「犬が実際に嫌なこと」が違っていたら、同じ事故が起こり得ます。

 

また「怖い」時と「狩猟本能が刺激された」時の動作は見誤られることがあります。小さい子供や赤ちゃんと犬の事故、また素早く走る猫に対する犬の反応は「怖い」ではない点はなんとなくイメージつきますよね。でもたとえ、ゆっくり動くものであっても、特定の音や光、もしくは匂いなどと同時に提示された時には、犬の狩猟本能を刺激していることもあるんです。

 

どうか、犬の行動を見て思った些細な疑問は、口に出してみて下さい。

小さな「あれ、なんでだろう?」は、これからの愛犬との15年の生活との向き合い方や選択肢の幅広さにつながります。

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余談ですが、私の相棒犬がぐーんと体を伸ばしてひなたぼっこをしている時の姿は、猫のようで見ていてほっこりします。自宅で仕事をしている時は、カーテンを開け、日の光が室内に入るようにしていると、太陽の移動に合わせて相棒犬が移動するようで、気づくと違う場所で伸びています。

 

1つ問題があるとすれば、私のパソコンの画面が光を反射してしまい、パソコン作業が非常にしづらいこと。最近は相棒犬よりも早く起きて、まだ静かな早朝に事務作業を終えるようになりました。 

2024年11月19日

愛犬の名前と愛犬の問題行動

こんにちは。犬のトレーナーの馬場です。

普段は、家庭犬のお散歩課題、室内での過ごし方、留守番準備のお手伝いをしています。

 

本日は、子犬時期に一番大事なことは何かを書きたいと思います。

子犬時期に大事なことは、皆さんはなんだと思いますか?

 

トイレを教えること?

甘噛み対策?

ご近所さんと上手に挨拶すること?

 

私は、それらの「行動」を教えるよりもまず、愛犬が「名前」に対してどんな感情を持つか、名前を呼んでくれる飼い主さんの動きをどう捉えるかを一番大事にしたいとお伝えしています。

 

3ヶ月齢の子犬を迎え入れると、何から手をつけていいかわからなくなるほど、生活が忙しくなります。トイレを教えるまでは、掃除三昧の毎日。朝もいつもより早く起きて対策を練る方もいると思います。

 

散歩は楽しかろうと連れ出せば、リードに馴れていない子犬は踏ん張って動かない。

 

オモチャをばらばらに破壊。

オモチャじゃないものもばらばらに破壊。

お腹を壊して慌てて動物病院に駆け込めば、これからお世話になる先生に対してうーっと唸る…。

 

そんな日には、多分誰もが、犬の名前がなんだ!という気持ちになると思います。

ただ、名前がどうして大事なのか、ちょっとだけ私の休日の話にお付き合いください。

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河川敷を相棒犬と歩いていたら、バードウォッチングをしている女性を見かけました。

確かに鳥の声は散歩中にもよく耳にします。私が休みの日の散歩コースにここを選ぶのも、相棒犬がコジュケイを見つける時の仕草が見たいからです。

 

挨拶をしてすれ違うつもりでしたが、女性の方のあまりにも楽しそうな雰囲気に思わず質問が口をついていました。

 

「このあたり、珍しい鳥がいるんですか?」

「珍しい鳥ではないけど、今の時期はアオジ・ジョウビタキ…」

 

女性は、私が聞きなれない鳥の名をすらすらと並べます。肩には双眼鏡をかけています。

「この双眼鏡で、世界が違って見えるんですよ」と女性は熱心に続けました。

 

帰宅してから、かろうじて覚えていた「アオジ」を調べてみました。写真ではスズメに似ています…。もしかしたら、私がこれまでスズメだと思っていた鳥のどれかは「アオジ」だったのかもしれない。

 

写真をスクロールしながら、私は大学時代にスズメのヒナを保護したことを思い出しました。ウエストポーチに入れて、大学構内にまでヒナを持ち運んで給餌。授業中、ウエストポーチの中でヒナがぴぃぴぃと鳴くので、私は教室の端でそわそわしていたと記憶しています。

 

休み時間毎に練り餌を用意するのですが、毎度いい食べっぷりです。家に戻ると部屋の中を少しずつ飛ぶようになって、1ヶ月後ぐらいに飛び立っていきました。当時はヒナの世話で、つきっきりだったのですが、今まですっかり忘れていました。

 

名前って面白いとつくづく思うのは、こんな時です。その名前で何かを調べるきっかけになったり、何かを思い出したり、その時の感情も一緒に引き出すものだからです。あのヒナが「アオジ」だったか「スズメ」だったか、はたまたまったく別の鳥だったかは別として。

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愛犬の名前は、私が電話での相談を受ける時も、パピークラスの参加者にも最初にお聞きしています。飼い主さんは問題行動の相談だけしたいのかもしれない。でも、名前は、問題行動以上に大事なんです。

 

愛犬の名前をつけた由来は何でしょうか?

普段、愛犬の名前を呼ぶのは、拾い食いを叱る時ですか?

それとも、オモチャ遊びに誘う時ですか?

 

2024年8月27日

様々な生き物をみていて気付く「犬のトレーニング」のコツ

柚子の葉を食べて日に日に成長している不気味な色の芋虫を眺める朝。

初めて遭遇した時は、私が「ひぇっっ」と悲鳴あげて、相棒犬を驚かせたこの芋虫は、アゲハ蝶の幼虫です。正体が分かった後は、そのままその木に住まわせて、羽化するのを見てみたいと期待して観察していました。

 

ある朝、柚子の苗木の葉は一枚もない。棘だけの痛々しい姿になっていました。3匹いた幼虫はいません。蛹の姿もない。

 

「食い逃げだ!」

残念ながら、羽化する姿を見られませんでしたが、庭の芝生で寝転ぶ相棒犬の傍をアゲハ蝶がふわふわ飛ぶ様子は、今年はよく見る気がします。

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毎日の厳しい暑さで、屋外では犬のトレーニングに取り組むことが全くできません。

レッスンでは、室内での課題に置き換えていますが、もともとお散歩が好きなワンコたちの飼い主さんはもどかしい思いをされているとひしひしと感じます。

 

私もそのひとりです。相棒犬との山登りに全く行くことができない今年の夏は「椅子ヨガ」で体力づくりをして秋に備えています。椅子ヨガは、単にストレッチを椅子に座ってするだけですが、呼吸を丁寧に行えるので、この時期お奨めです。

 

椅子ヨガをしていて、相棒犬の動きを何気なく観察していると面白いことに気づきます。それは、犬も人間もそして虫も、同じ場所にいる時も、ちょっと違った「行動」を選択しているということ。

 

相棒犬は、マットで寝そべることが多いコです。
朝ごはんを期待してわくわくしている時は顔をぐいっと持ち上げて寝そべっていますが、椅子ヨガをする飼い主を眺めている時は横向きに寝転び、しばらくすると頭がマットからずり落ちます。

暑くなればマットから降りて、顔(といより耳の端っこしか乗ってない)だけマットに乗せて床に寝そべる。うん、我が家の相棒犬は寝相が悪いんです。…という話ではなく、対象物(マット)に対しての「犬の体が触れている箇所」が違うことに注目してほしいんです。

 

違う例で言えば、テラスドアに対して「飛びつく」行動の時、その犬の前肢はテラスドアにぶつかりますが、「外を眺める」行動であれば前肢はぶつかりません。外の物音を気にしている時なら、何かに飛びついていなくても、顔の向きは窓の外に向いていていますが、もちろん外を見ないで涼しい室内の風に目を細めている時間だってあるはずです。

 

私たちが、犬のトレーニングをする時、あまり意識していないと「目立つ行動」だけに注目しがちです。でも、そうではない時間も間違いなくある。トレーニングを始めるためには、愛犬をこっそり観察してみる時間が必要です。この時「こっそり」見てたつもりなのに、愛犬と目が合ってしまったら、さりげなく目線を外してみて下さいね。観察のコツは、愛犬の「その瞬間の行動」を妨げないことにあるからです。

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食い逃げしたアゲハ蝶が庭に戻ってきたのかどうかは、わかりません。ですが、棘しか残っていなかった柚子の苗木には、いつの間にか明るい黄緑の葉が増えました。そしてよく見ると、新芽に新しく白い3つの卵がありました。

2024年7月16日

失敗してもいいから…なんてキレイごと?

 「のびのび育てたい」

「このコがやりたいことを、できるだけさせてあげたい」

 

犬育てで一番大事な心構えは、きっとみんな知っています。

それが、なぜかうまくできない。犬自身だけでなく、飼い主さん自身がしんどい思いをしている状況を私は何度となく目にしてきました。

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「こうしなければいけない」

「早く教えなければいけない」

「正しいやり方でやらないと、恥ずかしい」

「周りの人の目が心配でうまくできない」

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私たちが「こうしなければいけない」を学んだのはいつでしょうか?

犬のトレーニングとは、全く関係のない話ですが、私は、大学時代「スピーチ」の授業が何より苦手でした。

「きちんと話さなければいけない」を抱えこんで毎回唸っていました。

 

台本を用意しても、棒読みになってしまう…

発音が悪くて聞きとってもらえない…

焦ると単語の順番までひっくり返る…

そもそも何の話をしようとしていたんだろうと頭がまっしろに…。

 

練習の場が足りないことは自覚していましたが、協力してくれる友人の前でさえ「棒読みの台本」を読むのが恥ずかしい。結果ひとりぶつぶつと、念仏を唱えるような練習だけが繰り返されました。

 

アメリカの短大での授業だったので、私は自分の「英語力(技術)」が周りのクラスメイトに追いついていかないと自分自身を責めていました。でも、私に足りなかったのは英語力よりもむしろ、伝えたいことがあれば伝えるという「意志」でした。

 

当時の私は、クラスメイトの前でしどろもどろのスピーチを披露する「失敗」を繰り返しました。ですが今になって思うのは、あの時の「失敗をする機会」があってよかった、です。

自身の下手なスピーチに赤面しながらも、私は「単位を落とすわけにはいかない」と授業を欠席することはありませんでした。そして、ふと気づいたのは、下手でも続けたことは、今の私の底力になっています。下手なりにクラスメイトと話しかけてみると、特に困ることなく会話することはできたことに驚いたことを今も覚えています。

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子犬を迎えて、飼い主さんが直面するのは

「犬がこんなことをするなんて(想像の上をだった…!)」と

「また失敗してしまった…!」です。          

 

飼い主さん自身、慌てて動くと、子犬も慌てるとわかっていても、失敗がいつまで続くかわからない不安は、飼い主さんを同じ行動に向かわせます。

 

床の匂いがついたら、きっと落ちない…。

同じところで失敗したら、いつまでたっても失敗してしまう…。

 

そんな心配から抜け出すためには、もう一度「トイレ環境」と「寝る環境」を見直すことから始めましょう。

「失敗してもなんとかなる」と実感できるには、甘噛み、吠え、トイレ…どんな子犬も一度は通る成長過程を知識としてもっておくだけでは、きっと不十分なんです。

先日お伺いした6ヶ月のパピヨンさんのママも、同じ不安を抱えていました。お伺いして私が一番驚いたのですが、飼い主さんはトイレ環境はほとんど自力で整えられていました。ですが、「失敗させまい」と柵がたくさんあるが故に、時として犬の動線を遮ってしまう状況が見受けられました。動線を塞がないように環境を再整備した後、しばらく見守ると、パピヨンさんは躊躇なくトイレに行きました。

 

初回のカウンセリングの翌日、ママさんからは「おしっこの失敗がゼロになりました!!」とビックリマークがいっぱいついたメールが届きました。翌週お伺いした時のママさんの笑顔からも、お家の掃除担当を担われるママさんにとって「トイレの失敗」が繰り返されることが、これまでいかにストレスだったかが伺えました。

 

環境整備がトイレにまつわる時もあれば、夜寝る場所、お留守番エリアの場合もあると思います。

ただ、その環境が「犬にとって」だけでなく「飼い主さんにとって」も不安にならない状態を作っていくことが、トレーナーの仕事だと実感したひと時でした。

 

機会を作る。

失敗していい場を作る。

 

失敗をなくすには、矛盾するようですが「失敗してもいい環境(失敗しても飼い主が焦らないでいい時間)」が通過点としてあること、知っておいてくださいね。

2024年6月25日

犬のお散歩中、止まってみよう

 「今週末に、水道工事のためにお家の前の道が通行止めになります」

私が玄関を開けると、申し訳なさそうに頭を下げながら話す男性の姿がありました。

我が家の向いの土地で、現在建築中のお家の工事に伴う水道工事です。

 

先月から始まった新築工事。工事が始まったはじめの1週間は、相棒犬が大きなトラックが停車する音に、そわそわして「ワン!(音がするよー)」と知らせにきていましたが、最近は工事の時間になると、定位置のクレートにのそのそと入ると、丸くなってお昼寝(朝寝?)を始めます。家の建築の全行程を見る機会はそうそうない!と最近の私は、工事を実は楽しみにしていました。

 

建築物の工事って、面白いです。土台のコンクリート部分の工程では、私は鉄筋らしい部品が次々に地面に設置されるのを眺めて「コンクリートだけではないんだ」と興味津々でした。次の週、コンクリートが固まり、職人さんたちが、コンクリートを流した型を取り除く様子を、相棒犬の散歩がてら、ちらりと見ました。変な表現ですが、巨大なお菓子作りをみているよう。

 

平らだった土台は、今や立体的なカタチを見せており、土台の周りは水道管を埋めるために掘られている様子です。当たり前ですが、職人さんたちは「今の作業はこれ」「次の作業はこれ」がはっきりわかっているので、作業に迷いがありません。

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ふと、先週お伺いしたお家で「お散歩中に止まってしまう犬」のことで相談でお伺いしたお家のことを思い出しました。「次の行動が決まっているから、次の動作を始められる」ということは、犬との生活にも少し当てはまるんです。

 

ご存じだと思いますが、犬は、私たち人間とは、異なる判断基準を持っています。その1つが「嗅覚」です。お散歩中に立ち止まる犬の様子をこっそり見ると、足は動いていないけれど、鼻が忙しくぴくぴくと動いていることに気づきます。

 

この「鼻」が次の動作の判断基準を探しているだけなら、リードを引っ張ってせかすより、傍で待ってあげた方が、犬は次の場所へと歩き出せます。この鼻の様子に、飼い主さんが気づかずに「次はこっち」「早く早く」と指示が飛んでくるような環境では、お散歩中の犬は気が休まりません。

 

今度は、飼い主さん側の気持ちを見てみましょう。昨日は職場から持ち帰った書類の整理で夜遅くまで仕事していたのに、朝のお散歩はママが担当。早朝、お仕事前にお散歩に連れ出す。子供の朝ごはんだって用意するので、朝はいつだってばたばたしている。そう、愛犬の匂い嗅ぎにずっと付き合っている時間はないの。

「すべての匂い嗅ぎは付き合ってられない」そう犬に教えたい。

 

飼い主さんだって0100で決めているわけではなく、「ここは匂い嗅ぎしてOK」「ここはママのペースで歩く」とメリハリを考えているのです。ただ「早く進んでほしい」気持ちから、匂い嗅ぎを待つ時に、犬から離れて待っていたり、無意識にリードを引っ張りながら急かしていることはあるかもしれません。

 

先の「お散歩中に止まってしまう犬」の話に戻りましょう。
訪問レッスンでお伺いした時、私はママさんが「すでに知っている」ことを、改めてお伝えするか、迷いました。できていない部分は伝えたい、ですが「知っていることを指摘される」って、すごく嫌なことだと私は思うからです。ただ、「知識」と「実行」って小さなズレで大きな違いが生じることがある。だから、小さなコツを1つだけ、お伝えしました。

 

ママさんにお伝えしたのは、ママさんの立ち位置のことだけ。それだけで、立ち止まっていた犬の姿勢がよくなりました。そのコは立ち止まって空気中の匂いを嗅いで、まるで何もなかったかのように、すたすたと歩き出しました。周りに苦手な犬も、苦手な物音もしないのに「安全確認する(立ち止まって匂いを嗅ぐ)」のは、人目線にはちょっぴり不可思議ですが、犬目線では普通の行動の1つです。

 

犬について、知っている「知識」が多いほど「飼い主さん自身の小さな動作」は見落としがちになるのかもしれません。

 

私は、建築現場の監督さながら、全体を見る役目を少しだけ果たせたのかなと感じました。

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余談ですが、お散歩から戻ってから、飼い主さんは、お散歩中に会った人に「犬が嫌々歩いていて、可哀そうね」と言われて、落ち込んだ時の話をされました。犬が立ち止まっている様子をじーっと見ている男性からの一言でした。

犬がゆっくり歩いていたり
犬が立ち止まって鼻をひくひくさせていたり

これは、嫌々歩いているというより、ただそういう時間があるだけ。
リードを引っぱりっぱなしなら、飼い主さんが変えられる部分ですが、単に「そのまま」でいい時間だってある。

その瞬間にたまたま歩いてきた人がかけた一言が、言った本人は何気ない言葉でも、相手を傷付ける。私は「私も自分の犬の散歩のとき、嫌だなと感じたことありますよ」とお伝えしすると、ママさんは目を丸くして驚かれました。

 

犬の訪問レッスンを続けてきて思うのは、「知識」や「技術」だけで解決できることなんて、ほんとうは氷山の片隅にすぎないということ。大切なのは、犬の状況を見て慌てない心構えと、それから犬がいろんな経験を積む「機会を作る」ことだけ。

だから、安全に失敗できる場所を、たくさん作って下さい。いろんなことに興味を持って下さい。きっとそれは、愛犬にとっての「新しい楽しいこと」につながる糸口です。