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2025年5月29日

お散歩中に「見たもの」を書き留める

 こんにちは、トレーナーの馬場です。普段は愛犬の室内マナーやお散歩練習、留守番練習のお手伝いをしています。

 あなたは、犬のお散歩中に見たもの、覚えていますか?

 思っている以上に「目にしても気づいていないもの」ってあります。たとえば、5月に咲く黄緑色のキウィフルーツの花。甘い香りがほんの少し漂っていますが、せかせか歩いていると、花は緑色の葉に隠れてしまってあまり目立ちません。ご近所さんの畑に目をやると、支柱はまっすぐのものだけでなく、ねじ巻状の支柱も使われています。

私はお仕事のシッターで、いろんなお散歩コースを歩く機会があるのですが、毎日同じお散歩コースを歩いていても、周りの変化に気づくことは、犬のボディランゲージに気づくきっかけにもなります。

お散歩中に「気づく」ためには、「記録する」ことが効果的です。記録ってめんどくさい…と思われた方も、簡単な方法で一度試していただきたい!

1つ目はスマホで見た風景を撮ること。愛犬の写真を撮る方は多いですが、「愛犬と一緒に過ごした場」を記録することは案外少ないものです。特に犬がカメラを苦手にしている場合、無理に愛犬を撮るよりもずっと犬への負担をぐっと減らせます。

この時、撮りすぎてスマホに夢中にならないように、「1枚だけ」に決めることがポイントです。スマホを構えると、リードをうっかり引っ張ってしまう心配があるなら、他の方法をお奨めします。


2つ目は手書きのメモを書くこと。日記やスマホ、もしくはのちのち捨ててしまうカレンダーに「見たもの」を書くのもお奨めです。この時「文章を書こう」とは決して思わないで下さい。1秒でぱっと浮かぶもの。例えば「黒い猫」「小さい柿」「アストロメリア」など後で見た時に「これは暗号??」と自分でもわからなくなるぐらいの単語でも大丈夫。LINEの自分宛てメモも便利なツールです。 

さて、キウィの花は小さな実へと姿を変えました。私は昨年キウィフルーツの実は目にしたのですが、あるはずの花には気づいていませんでした。犬のボディランゲージと一見関係ないように見えますが、飼い主が足を止める「定番の場」があると、愛犬も自然にそこに足を止めたり、ちらりと飼い主の方をみたりするタイミングが増えたりします。

お散歩中の課題が多いと、どうしても「犬の様子(吠えないかな?拾い食いしないかな?」と犬ばかりに目がむきがち。でも、犬のボディランゲージに気づくには、周りに目をやることも大切なんです。 

ぜひ、今日のお散歩から「見たものを1つだけスマホで撮る」試してみて下さいね。

ちなみに私は、先日手書きで「大きな穴」と日記に書き留めました。後日、その向かいのお家のおばあちゃんに会った時にお聞きしたところ、駐車場奥の雑草を埋めるための穴であることが判明しました。

2025年4月17日

トレーニングは「失敗を避ける」とは違うということ

いつもトレーナー馬場の失敗談を見ている皆さん。実は、失敗や心配ごとがあることは、決して次に進めなくなるとは限らないということを伝えたいと思います。

 

私は少し前に相棒犬と雪山登山に行ってきました。

 



登山での安全対策は十分か?

雪道の運転はできるのか?

そもそも、寒い山歩きを相棒犬は嫌がらないか?

 

そんな懸念事項を抱えながらも、群馬県まで遠征。相棒犬は、保護した頃は街中歩きが下手で、人や犬がいない場所を選んで歩いていました。今でこそ、近所のワンコさんと一緒に歩いたり、お隣さんのウォーキングにご一緒することがありますが、最初は「行ける場所」を少しでも増やしたいと思いで続けていた山歩き。この活動は、当初思っていた以上に、私たちの行動範囲を広げてくれました。

 

私は早朝の雪道が不安だったので、気温が上がってから目的地に向かいました。山道の中途にある駐車場は運よく1つ空きがありました。早朝から歩いていた登山者さんが、ちょうど下山したところでした。

 

相棒犬は、車から降りてうーんと伸びをすると、車の横でぺたんと座りました。馬場が登山靴に履き替え、荷物を詰めなおす時、以前は車内で待たせていましたが、今は状況を見て車の横で待たせています。

 

山道に入ると、前日に降った柔らかい雪が私たちの足跡を残します。万が一の道迷いの不安を少しでも減らすため、コースは冬前に何度か歩いており、どのぐらいで分岐点に着くかは把握しています。

 

分岐点では、少し迷ってから他の登山者の足跡がない方のコースを選びました。この道なら、もしも雪が深かったとしても、道幅が広く安全に戻って来られる。ずぼっと足が埋まる感触に、飛び跳ねながら歩く相棒犬の足取りは軽やかです。時折、鹿の気配を感じてか鼻をひくひく動かしながら足を止めては、こちらを振り返ります。

 

無事に山頂に続く尾根にたどり着いた時、ふと、足元のアイゼンが忽然と消えていることに気づきました。そういえば、下山中の人とすれ違う時に、私は前のめりに転びました。左足を何かに取られたことを覚えているので、その時の衝撃でアイゼンを落としてしまったのかもしれない。下山にかかる時間は、予定よりも長く見積もる必要がありそうです。

 

不安を減らすには、準備が必要だけど、やってみないとわからないことも、たくさんある。

だからこそ、私はレッスンで会う飼い主さんたちに「まずやってみて下さい」を伝えたい。

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お散歩が下手です。

お手入れが苦手。

車酔いが心配…。

お隣さんに吠えてしまう。

「力づくで何でも解決してしまえ!」と乱暴なトレーニング方法を実施する飼い主さんは、減ってきています。一方で、できないことは「無理させないためにやらない…」と機会自体をなくしてしまうことも、愛犬の行動範囲をぐんと狭めてしまうことを知って下さい。

 

飼い主さんにもワンコにも、新しい「できた!」経験を提供できるトレーナーであるために、私は、毎日「失敗」と「うまくいった!」を交互に重ねながら生活しています。

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山頂では、雪山とは思えない程の暖かい陽気に、相棒犬は足を崩してお昼寝を始めました。私はそこでホットケーキを焼いて食べた後、ゆっくり下山しました。

途中、私が派手に転んだ場所の傍の木に、私が落としたアイゼンがひっかけてありました。




2025年3月13日

ゆっくり食事と。ゆっくり珈琲タイムと。

おはようございます!トレーナーの馬場です。いつもは、家庭犬の室内マナーやお散歩練習、お留守番課題に取り組む飼い主さんとお仕事しています。

私は朝一番で、お湯を沸かして珈琲を淹れる習慣があります。

今朝は少しだけ違うことを考えていました。「あっ、珈琲よりも白湯の方がいいかも…」と迷っていたら、沸かしたお湯が少し冷めました。

私は少し冷めたお湯で、やっぱり珈琲を淹れました。いつもと比べて苦みが少ない珈琲。目を覚ますために無理やり口に押し込んでいた珈琲の代わりに、今朝は5分だけコタツに座って珈琲を飲んでいます。相棒犬は、コタツの布団にもたれかかって寝息を立てています。

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飲み物や食べ物をどういう状況で口にするのかは、犬にすごく大事な生活要素です。

私は食に関して印象に残っている犬がいます。訓練所時代にお世話をしていたジャーマンシェパードの女の子です。ジュリアという名の小柄なシェパードは、1歳前後の育ちざかりのはずが食が細く、よくごはんを残していました。どうやって食べさせたらいいのかで、10代の頃の私や仲間たちは犬舎に行く度に頭を抱えていました。

ジュリアのいる犬舎に何度も足を運び「ちょっとずつでもいいから…」と食事の回数を増やしてみたり。外遊びで少し楽しそうな動きをするようになった頃からは手からなら食べるので「いっそ全部のごはんを手から食べてもいいから」と試してみたり。

私が担当だった時、ごはん量が増えたか…と結果をみると、あまり効果はなかったです。

今考えてみれば、環境を変えて、もう少しでもジュリアが落ち着いていられる場があれば、違っていただろうと冷静に思います。

訓練所の犬舎は、時として騒々しくなります。複数の犬がトレーニングを期待するパンティング(荒い呼吸)が聞こえたり、吠え声も重なれば大音量になります。

今なら「落ち着いて食事を楽しむ場」が犬舎でなければいけないとは、私は考えません。
人がいる場で食べなければいけない!
他の犬がいる場でも落ち着けるコでなければいけない!
トレーニングにフードを使わなければいけない!
今できないことをするためにもっともっとがんばらなければいけない!

そうしたプレッシャーがない場を作れたら、ジュリアはもっと「楽しく」ごはんを食べたに違いありません。ジュリアは防衛訓練には向いていないシェパードとして、一般家庭に引き取られた話をのちに先輩から聞きました。

私はその後、自分自身で訓練業を始め、訪問レッスンをするようになりました。
訓練業を生業にして、15年になります。家庭犬のトレーニングのためにお家にお伺いしていると

「お手入れ(足ふきやブラシ)で咬む」
「リードの着脱時に咬む」
「お散歩が苦手で引っ張ったり吠えたりする」
などの問題の前に、まず取り組みたいのが

「食が細くて体重が増えない…」
「食べてもすぐにお腹を壊す…」
「フードを入れても食べないので置きっぱなし…」など食に関する心配ごとです。

先月からレッスンを開始した5ヶ月のトイプードルの女の子。私が飼い主さんにまずお願いしたのは、ごはんに関する記録です。
朝ごはんの量。朝ごはんの食べ方。
夜ごはんの量。夜ごはんの食べ方。
おやつの内容。食べた場所。おやつの食べ方。

ドライフードは食べたり食べなかったりするので、トッピングするなら用意の段階で。食べなかったから美味しいものを追加するのは控えてもらいました。

さて、愛犬の食事記録を始める前に、飼い主さんに繰り返しお伝えしたことが1つあります。

それは「記録した内容(食べたか食べなかったか)に対して一切評価しないで下さいね」ということ。評価しないというのは、「いい」または「悪い」の判断をその場ではしないということ。

楽しく食べることを目標に記録をつけるのだから「食べなかった…」とその都度落ち込んでしまうと、記録すること自体が嫌になります。その場で評価することは、記録者の負担になってしまう。記録する時に、感情を持ち込まないことこそが大きなコツ。そうすることで、例えば1週間分のデータを集めることができます。

結果に対する評価は、あえて「記録を一旦締め切って」から行います。

「動作(状況を見て手を動かして書く)」と
「評価(データを見て、それについて考える)」を
切り離すことは、最初に馴れるまでは難しいですが、課題の対応策を選ぶ前に、一度やってみてほしいです。2つを切り離すいことで、新しい視点が見つけやすくなるため、犬の食事環境を改善するのに必ず役立ちます。

2025年2月13日

壊れたガスコンロとにらめっこ

 「直ったー!!!」

思わず大きな声を出した飼い主を、横で昼寝していた犬が見上げました。

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こんにちは。トレーナーの馬場です。

普段は愛犬のお散歩課題や、室内マナー、お留守番練習のお手伝いをしています。

先日、相棒犬を連れて家の近くの山に登り、山頂で食べるはずのカップうどんが食べられるかどうかの瀬戸際に立ちました。
他にも、非常食はカバンにたくさん詰めてあるので、困るわけではないけど、寒い日の熱々うどんを期待してもくもくと歩いてきた私は、ガスコンロの火が着かないことに困惑していました。

登山用のガスコンロとは、小さな鍋のお湯を簡単に沸かせる小型のコンロです。私のガスコンロは、着火部分の部品のねじが外れてしまい、小さなねじと、どうくっつくのか不明の部品が、携帯用袋の中に転がっていました。

私は、しばらく部品たちとにらめっこをして「無理だ…」「いやもしかすると…」とパズルに取り組みました。相棒犬は、山頂の芝生部分で寝転ぶと、ぽかぽかの日に目を細めてお昼寝を始める気配です。

冒頭に叫んだ通り、ガスコンロの部品は無事に元の位置に戻り、着火しました。自分で直そうとしていたのにも関わらず、私は直ってびっくりしていました。いつもよりも、カップうどんが美味しく感じたのは、言うまでもありません!

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さて、ガスコンロの修理と、愛犬のトレーニングはさすがに関連性はないだろうと思われたと思います。もちろん関係ありません。犬はガスコンロを使いません。

今日お話ししたいのは、犬のトレーニングには「強化子」と呼ばれる「行動を増やす」要素があり、それは2パターンあるということについてです。

1つ目は「ごほうび」と呼ばれるものの存在。
犬にとって「うれしいもの/楽しいこと」がある行動の後に出てくること。これを専門用語では「正の強化」と呼びます。

もう1つの方は、真逆の要素です。犬にとって「嫌なこと」が行動の後になくなることを指します。これを専門用語では「負の強化」と呼びます。

実は、学習者にとって素早く行動するのは「負の強化」であることさえあります。
山の上での私の行動も

「自分が持ってるガスコンロをまだ捨てたくない」
「食べられるはだった、うどんを食べずに山を降りたくない」
そんな気持ちから、慌てて修理していて、かなり集中して取り組んでいます。

負の強化の例、もういくつか挙げてみましょう。
今まで後回しにしていた歯医者への通院。昨日から急に奥歯が痛みだして、ずっとズキズキしている…。いますぐ診てもらいたいと即座に電話に手を伸ばす。

夜仕事に疲れ果てて、バタバタと夕飯の支度をする。手際よく野菜炒めを作って、お皿に盛りつけた。テーブルに着く前にささっとフライパンも洗ってしまおう。いつもならそんな失敗はしないのに、うっかり金属部分に触れてしまい、悲鳴を上げる。慌てて冷凍庫から氷を取り出し、ひりひりする人差し指の付け根と手のひらを氷水で冷やす。

2つの例は、もっと明らかな「痛み」や「不快感」があったため、それをなくすための行動を選択している場面です。

私たち人間は「負の強化」によって、選択した行動を幾度となく経験しています。

そのため、愛犬も嫌なことがあったら「正しい行動」を選択して「嫌なことを避けることができるはず」とつい思ってしまうのではないでしょうか。

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爪切りが嫌で咬む…(じっとしていたら、すぐに終わるのに)

リードを着ける時に咬む…(じっとしていたら、すぐに楽しいお散歩が始まるのに)

診察時に獣医さんにうーっと唸る(じっとしていたら、痒みに効くお薬処方してもらえるのに)
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犬が「嫌だ!!」と咬んだり唸ったりする状況に気づかない飼い主さんはいないです。
子犬の飼い主さんは
「まだ馴れていないからだ」
「少しずつ馴れたらいいんだ」
と、見守る時間もきっととっています。でも、この「まだできない」がいつまで続くのか…の不安は少しずつ大きくなってくる。


特にお手入れも診察も困ってないワンコを見たり、周りのワンコの話を聞くことで、なおさらそう感じるかもしれません。「うちのコだけが、以前よりも過剰に反応(実際に強く咬む)」と感じたら、飼い主さんが不安に感じるのは当然です。

ここで、1つ「負の強化」について再度考えていただきたいことが2つあります。

1つ目が、「嫌なこと」をなくすための行動が、能動的か受動的であるかの違いです。上記に挙げた「電話をかける」「冷水で冷やす」「ガスコンロの部品を組み立てる」は動作が伴う、言い換えると能動的です。一方で、犬の状況では、私たちがこうしてくれたらいいのに…と思う行動は「じっとする(動かない)」言い換えると受動的であることが依然として多いんです。

2つ目の違いは行動の後の結果を、人は知っているけれど、犬は知らなかったり、誤解している状況があるということです。

人の場合でももちろんすべてが動作が伴うなわけではありません。歯医者の例で言うなら、歯医者の予約をした後は、治療中じっとしていなければなりません。

人だって常に「正しい行動」の結果をしっているわけではありません。歯医者さんの治療の音や薬品の匂いがどんなに苦手でも、自分の歯の痛みを取り除く手段として知っている人なら治療を受けるでしょう。一方で、小学生の子供は、歯が痛くても、自分で歯医者に行くことはせず、親御さんが連れていくでしょう。

火傷の例にしても、生まれて初めて火傷したなら、冷やすのか、塗り薬が必要なのか、病院に行くのか、の行動で迷ったり、行動自体をすぐに選択できないかもしれません。
こちらは「じっとしている(ただ何もしない)」だと、逆に火傷の炎症がひどくなってしまう危険だってあります。

犬が「痛み」や「何が起こるかわからない不安」に向き合う時、大事なのは、犬が「すぐに行動する」ことでも、飼い主さんが「急いで(慌てて)行動する」ことでもないんです。

大事なのは、行動する前に1秒、考える余裕を犬が持てること、もしくは犬が落ち着くように飼い主さんが手伝うことなんです。

”飼い主さんが冷静に決断するための
「一時停止ボタン」を作るお手伝いをさせて下さい!”

今月からお伺いすることになったお家で、そんな説明を口にした時

私は少し前の登山での出来事と、最近通い出した歯医者のことを思い出していました。
私自身が普段「一時停止ボタン」を押し忘れて、バタバタと動いている時がある…
避けることもできた「痛い思い」を何度も繰り返している…

心の中で反省しつつ、再度前を向きました。
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山頂では、カップ麺を食べている飼い主の横で
相棒犬はもう一度目を細めると、お腹によく日が当たる位置に寝なおしました。

2025年1月16日

違和感は「知らないこと」に気づく通り道

 「お赤飯は、炊くよりも蒸して作らなきゃ美味しくできないのよね」

その日、私は相棒犬の散歩でよく行き会うご夫婦と一緒に歩いていました。

 


お祝い事のお赤飯の話を聞いていた時、私はなんの違和感なく聞いていました。その後「蒸す」という言葉に、改めて気づいたのは「お餅も同じなのよね」とその方が続けたから。

 

水を入れて、お鍋で強火、水が沸いたら弱火で「炊く」のがお米。

お赤飯は浸水するけれど、お水を切って、蒸し器で下からくる水蒸気で「蒸す」

白ご飯とお赤飯は作る過程が違うのです。

 

きっと知っている方にとっては、何でもないことで、違和感がなくて普通です。でも、私は知らなかったから「違和感がなかった」んです。

 

こんにちは。トレーナーの馬場です。

普段は、家庭犬のお散歩課題や室内マナー、お留守番練習のお手伝いをする仕事をしています。

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知らなかったら、違和感がない。

これは犬のボディランゲージについても、同じことが言えます。

 

黒目がちな目で飼い主をじっと犬が見つめる時、必ずしも犬が「嬉しい」わけではない。

あくびをしている犬が、必ずしも「眠い」わけではない。

 

犬が身体を掻く動作をする

足先をなめる

舌をちょっと出して口の周りを舐める

ベッドを掘るような動作をする

 

こうした動作は、その状況によっては「カーミングシグナル」、犬が自身を落ち着かせるために無意識にする動作であることがあります。

 

ヒトが緊張したときに髪の毛を触ったり、唇をなめたりするのと似ているかもしれません。ちなみに、先月のインフルエンザのワクチン接種の際に、私はそっぽを向いて目を細めていた記憶があります。

 

私自身の動作がカーミングシグナルかどうかはさておき、愛犬が不安解消の時の動作の話にもどりましょう。「不安解消のための」と捉えずに、「愛犬がよくする仕草」として思い浮かべるなら1つや2つはすぐに挙げられるのではないでしょうか?

 

それらは、「不安サイン」というくくりにしなければ、違和感のない風景なはずで、多くの場合は、特に注目する必要もないかもしれません。

私が取り上げたかったのは、注目する価値がある不安サインもあるからです。

 

例えば、人を見て前足が小躍りしながら小刻みにジャンプ。ヒトが1歩近づくと、跳びながら下がります。一見じゃれているような動作の子犬。この時、犬が伝えたい言葉は何でしょうか?

 

知らなければ気づかない小さなボディランゲージは、いくつもあって、私自身もトレーニング中に「犬たちが見せる言葉」を見誤ったり、見落としたりして「そういえば、さっき…」と後から気づくことがあります。それでも、毎日、小さな仕草を書き留めては、前回の訪問時との違いに目を配っていると、飼い主さんに伝えられることが年々増えてきています。

 

新しい年を迎えると、今年の目標なんてものを掲げてしまいますが、毎年思うことは同じ。もっと犬のボディランゲージを「飼い主さんと共有できる言葉」として見える化していきたいです。

 

耳の位置や動きはどうですか?

目の大きさは?

身体の動きは、どういう時に柔らかいですか?どういう時に硬いですか?

四肢は地面に対してどんな角度でしょう?

しっぽの揺れはゆっくりですか?早いですか?

 

あなたがそれに対してどんな仕草をした時、そのボディランゲージは継続しますか?

それともそのボディランゲージ以外の「動作」を愛犬は選択しますか?