June 9, 2016

褒めるトレーニングがうまくいっていない時

トレーナーの馬場です。

愛犬を褒めるトレーニングと聞くと
なにやら「よいこと」のように聞こえる一方で

褒めるってどう褒めるか?
そもそも褒めることをしてくれない・・・。

なんてお悩みもあるかもしれません。

特に
トイレの失敗で困っていたり
いろんなものを咬む仔犬の時期には

褒めるよりも
叱るばっかりで自己嫌悪・・・という経験をされた方はいませんか。

褒めなければいけない・・・

もしそんな風に考えているなら
褒めるトレーニングを無理してすることはないと思います。

褒めるために
「何かをさせなければいけない」
という形でトレーニングで取り組むとうまくいかない率は残念ながら上がってしまう。

少~し変な例ですが
先日友人からこんな愚痴を聞きました。

『普段の仕事をしている時は全く褒めてこない上司が
残業を頼む時だけ、えらくいろいろ褒めてくる。
・・・でも褒められて嬉しくはない。』

何かをさせようとしているの時だけ褒めるって、実は褒めているわけじゃぁないですよね。


話をワンコのトレーニングに戻しましょう。

トレーニングがうまくいっていないとき
いったん愛犬を「観察」できる時間90分設けてみて下さい。

おうちの中の方がいい場合もあれば
リードをつけて公園に行ってしまった方が飼い主さんに余裕がでる場合もあるようです。
家では飛びついているばかりのワンコが、動物病院だと適度に緊張して飛びつかない。
そんなワンコもいるでしょう。

さて
その場で何をするかと言うと・・・

①自由な行動をさせて
②観察
③何か「いい行動」に対して声をかける(楽し気な声掛けであれば、どんな声掛けでもよいです)

飼い主さんの声は
一緒に暮らしている愛犬にとっては「うれしいもの」であることが多いからです。

ただし、「何かをさせよう!」として声掛けをしないでください。


続きをお話しする前に
ここで少しだけ
学習理論のお話。

おおまかに4つの学習パターンを知って下さい。

ワンコは何か行動をした後に・・・いいことが起こればその行動を繰り返します。
              いいことがなくなってしまえば、その行動をやめます。
              嫌なことが起これば、その行動を避ける傾向にあります。
              嫌なことがなくなると、その行動を繰り返す傾向にあります。

だから褒めて伸ばすとは
ワンコが「いい行動」をした後に「いいこと」がある
ようにするという意味になります。

ですがいざ
「トレーニングするぞ」
と飼い主さんが頑張ろうとする時

なぜか声掛けは
「何かをさせるもの」
になってしまいがち。

オスワリ!
オスワリ!オスワリしなさい。オスワリでしょ!オスワリっ!!!

オイデ
オイデったら!オイデ!来なさい!来い!!!

この時の声掛けは
「行動」の前なのでいくらかけてもよい行動を教えていることにはなりません。

また何回も言うのは、人側も嫌になります。
嫌なことは、人もやめる傾向がありますよね。

褒めるトレーニングが嫌・・・と感じるのは、
「何かをさせようとして褒める」
の形になってしまっている・・・そんなずれがあるせいかもしれません。


さて!
いい行動・・・どんな行動が思いつきますか?

思いつかない・・・なんて時も
観察しながらどういう行動が「いい行動」かを見つけてみてもよいでしょう。
そんな時は、声掛け自体をしないで観察しましょう。(つまり、①と②だけ)



「トレーニング」がうまくいっていない時
いったん【観察】時間を設ける

そういう取り組み方も悪くはないですよ。