「レインコートの練習はどうしますか?」
「雨の日はお散歩しません」
初めて犬を飼うお家で飼い主さんが口にした言葉。
雨の日にお散歩すると
毛は絡まるし
足はドロドロになるし
なんとなく濡れた犬臭いし。
私は「そうですね」と口にしながら
ほんの少し口をもごもごして、思っていたことを飲み込みました。
それから1か月後
「雨の日に限って家具をかじる」
「雨の日に限ってトイレを失敗する」
と相談を受けて、「雨の日にお散歩してみては?」と提案しました。
そのおうちでは、その後イタズラが激減したそう。
そのおうちでは、その後イタズラが激減したそう。
(イタズラにはいろんな要因があるので、お散歩だけですべて解決ではないのですが)
育児書(犬の育て方本)の中には
「雨の日にお散歩すべきではない」
「お散歩するのかどうかは犬が決めるのではなく人間が決めるべきである」
と書かれているものを目にすることもあります。
確かに、お散歩の時間をきっちり毎日4時半と決めてしまい、時間になると「散歩の時間だ」と犬が決めて、まるでアラームのように吠えるのは困ります。お散歩時間は毎日同じではなくて、ずらせた方がよいでしょう。一方で、「雨の日には行かない」と人間が頑なに決めて行かないのもどうかな…と思うのです。
私は、「雨の日のお散歩」を犬に経験させてあげるのも
1つのものの見方ではないかと考えます。
雨の日は、普段の屋外とは違った風景が見られます。
傘をさした人
足早に歩く人
雨に濡れた雑草
水たまりと泥っぽい道
水を撥ねながら走る車
雨の日のお散歩もけっこうおもしろいものです。
室内犬が増えた今、雨の日にお散歩に出ない犬は、雨の日の外の世界を知らないのかもしれません。
もちろん雨の日に、1時間お散歩する必要はありません。
私がシッターでお伺いしているおうちは、半数は「雨でもお散歩行く派」。
そういうおうちでも、普段のお散歩が40分でも、雨の日のお散歩は10分程度。残りの時間はおうちで過ごします。でも帰宅すれば、家でくつろいで、まるで雨の音を楽しむかのような、そんな印象さえ受けます。
おうちの飼い主さんは「雨の日のお散歩を経験させよう」だなんて堅苦しく考えていないでしょう。雨でも行きたそうだから、ちょっと出かけて、雨でちょっと大変だったから一緒に帰ってきた。
そういう感覚って、たぶん大事だと思います。
犬との生活を、すべて犬最優先で過ごすことを奨励するわけではありません。
でも、犬がいろんな経験をして、「これはこういうものなのかぁ」と思って過ごせる環境は大事です。