どう読むかご存知ですか?
「とうち」と思った方
残念ながら、不正解です。
間違う方はもしかするといないかもしれませんが
私は以前「とうち」だと思い込んでいました(汗)。
上記の漢字は「闘争本能」という言葉とは何の関係もありません。
私が勝手に「闘争」と同じ漢字だ・・・と思っていただけ。
ただしくは
「いきち」
と読みます
意味は
「刺激が刺激として感じられる最小値のこと」
簡単に言うと
小さい刺激なら反応は表れないけれど
大きい刺激なら反応が表れる
そのちょうど堺になる値を指します。
例えば
犬に吠えてしまう犬の場合でも
反対側の道路の20Mぐらい離れたところにいる犬には吠えないかもしれません。
また、大きい犬には吠えるけど、小さい犬には吠えない犬はいるでしょう。
この閾値について
藤田りか子(2015)は「犬と遊ぶレッスンテクニック(イシュカ・オーベリー著)」の訳書の中で
”この閾値内であれば、たとえどんな刺激をもらっても、追いかけたい、逃げたい、重たい、痛いなどはっきり知覚せず、よって行動を変えることがない(p138)”と説明しています。
知覚しないけれど
存在する刺激
・・・なぞかけみたいだ!と怒らないでください。
この「閾値」を
英単語で表すとThreshold と表示し、同様に「境目の値」のことを指します。
私が最初にこの概念を意識したのは
吠える犬のリハビリトレーニングについて
保護施設のスタッフから説明を受けていた時です。
”The training plan has to be under her threshold”
(そのワンコの閾値を越えないようにトレーニングの計画を立てて下さいね)
つまり
「ワンコが吠えない状況下でトレーニングを計画してくださいね」
と説明されました。
吠える犬・・・だから、吠えないようにするトレーニングをしたいのに
吠えない状況でトレーニングするとはいかに?
「なんだか・・・矛盾しているように思える」と
疑問を当時抱えていたことを思い出します。
お散歩中に
他の犬に吠える犬
閾値以下に抑えるのは到底無理!
20M離れた犬に吠えないとしても
お散歩中に会う犬は、20M以内に近づいてくるし
しかもその犬を連れた飼い主さんは恐ろしく速足で近づいてくる。
反対側の道路に渡ろうとしたら、曲がり角から別の犬。
そういう時にどうすればいいの?
そんな時
あるスタッフさんに言われた言葉で
印象深かったのが
「犬とすれ違う時に吠えてしまっても失敗だと思わなくてもいいよ」
でした。
【トレーニング】と【吠えにくい環境調整】と【普段の生活そのまま】
3つは
どれかを無理するとうまくいかないから
無理のない形でやってね。と
面白いことに
3つの方向から捉えると
少しだけ余裕が生まれます。
その時は
以下のような
3つの方針を立てていきました。(すごく大まかですが)
・普段のお散歩は吠えてしまうけど、一応記録はとる。⇒「閾値」の検討をつける
・トレーニングでは、犬はいない状況下で、つけ、オイデ、ボール遊びの練習⇒「閾値」以下
・吠えそうな状況は作らない(でもうまくいかない日もある)⇒「閾値」以下を目指す
そうするうちに
閾値というのは
「絶対に冒してはいけない値」という足かせではなくて
うまくいくための「手かがり」になっていきました。