イヌのトレーナーの馬場は
ここ半年ほど車のナビなしで運転をしています。
ナビがないのは確かに不便ではあるのですが
面白いことに、このおかげで私はできるようになったことがあります。
それは道路地図を読むこと。
スマホを片手にどこにいてもなんでも調べられる今時の流れからは、かなり古風な方法なのですが、私はインターネットで道順を調べたら、一旦紙の道路地図へ戻ります。
そして、目的地までどの道路を通って行くか(例えば、国道141号)を紙面で確認します。それと平行して走る道路もある程度覚えておきます。
途中通る街の名称もいくつか書き出します。そうすると、道路標識に示される地区の位置関係を頭に浮かべられるようになるので、間違ったところで曲がっても軌道修正がききやすくなります。
それでもいざ道中迷うと、地図とにらめっこ。
現在地が把握できさえすれば、軌道修正は楽ですが、目的地をうっかり通り過ぎていたりすると、その現在地の把握が困難になります。
そういう時、どうにも自力で解決できないと
コンビニの店員さんに道を尋ねることがあります。
そういえば、ある時、道を教えてくれた店員さんの
道案内がすごくわかりやすくて感激したことがあります。
その時私が探していたのは、1つの定食屋さんでした。
比較的大きな通りに面しており、定食屋さんからほど遠くない場所に家庭裁判所がある。
家庭裁判所を目印にして向かえば、簡単にたどり着けるだろうと思っていたのに…
さっぱりそれらしきものがない。
大通りを行ったり戻ったりした後
ある曲がり角にあったコンビニを目にした時
「今からお昼ご飯を食べに行くからお昼ご飯は買いたくないなぁ。
ジュースしか買わないのに申し訳ない…でも行こう…」
と、店に入り、店員さんに道を尋ねました。
その店員さんは、私が目印にしようとしていた家庭裁判所が
「大通りからは少し奥まった処にあるので、大通りから裁判所の建物は見えないですよ」と教えてくれ、別の目印に使えそうな、ある駐車場の大きな立て看板を教えてくれました。
もちろん、それだけでもすごくありがたかったのですが
その店員さんはさらに
「もしも、○○が見えてきたら、行き過ぎているので、もう一度戻って下さいね」
と教えてくれました。
通り過ぎた時の目印!
オーバーないい方ですが、目からうろこが落ちたような気持になりました。
行き過ぎた時の目印を知っていると、運転は格段に楽です。
その目印が出てこなければ、このまままっすぐで大丈夫ということだから。
ほどなくして、目的の定食屋さんに着いたのですが
「目的地までの道だけじゃなくて、行き過ぎた時の目印も大事なんだな」
としみじみ思いました。
それから
遠出のときの地図確認と
仕事でのイヌのトレーニングのレッスンで
「行き過ぎた時の目印」が活用されるようになりました。
うまくいっていることも「行き過ぎるとよくない」ってありますよね。
例えば、怖がりの子犬がご近所の人におやつをもらったことで、その人を見ると大喜びになったとします。人、特によく会うご近所さんのことを、愛犬が好きなことはとってもよいことだと思います。
一方で、過剰に喜び過ぎていれば、それは吠えや飛びつきを誘発し、
うっかり吠えや飛びつきを強化してしまうようなこともあるのかもしれません。
楽しいことでも、嬉しいことでもほどほどは大事。
トレーニングを頑張る飼い主さんほど
トレーニングのときも「行き過ぎ」がないかどうか
「どういうとき行き過ぎてるか」を
時折確認してみることも大切です。