車移動のこと。
「あっ…時間がなんとなく余裕がないな」と思う時ほど、赤信号にぶつかります。
いつもは、テンポよく走っている道路なのに
「あれっ?この道、3つも信号があったのね…」と落ち込みます。
ですが、今日、少し違ったのが、前の車のステッカーでした。
よく見るステッカーは
「ジャーマンシェパード!」
「シェルティ乗ってます!」
好きな犬種やお家の犬のシルエットのステッカーだったり
「赤ちゃんが乗ってます」
「法定速度で走ってます。お先にどうぞ」
などのお知らせ系です。
今日赤信号待ちで、気づいた車のステッカーにはちょっと不思議なメッセージ。
「本当はもっと寝ていたい」とありました。
二度見して
「同感です」とつぶやいた私は思わず、くすりと笑います。
------------
話は変わって、犬のトレーニングの話。
トレーニングには特定の「合図(Cue)」と「行動」を結び付ける練習があります。
「合図」と聞くと、「オスワリ」などの「言葉」をイメージされる方が多いと思います。状況によってはそのイメージは正しい。オスワリと言われて犬が座って、トリーツをもらう。うれしそうに尻尾がぱたぱた揺れる。多くのワンコが、特定の場所ではできる行動です。
一方で、「オスワリ」の言葉がまったく犬の耳に届かないような場面も、多くの飼い主さんは目にされています。例えば、お散歩中は難しい。苦手な犬がいる場所では、まったく無理。なぜそんな状況かと言えば、飼い主さんの「声(オスワリという声かけ)」以外にも行動を引き出す「合図」がやまほどあるから。
犬が目の前を通った。(目からの情報)
ジョギングの人が通り過ぎた。(目からの情報)
救急車のサイレン。(耳からの情報)
ごみ収集車が接近中。(目と耳からの情報)
気になる犬の匂い。(鼻からの情報)
走る動物を追いかけようとすると張って苦しいリードの存在(痛みや不快感)
極端な言い方をするなら、オスワリする行動を阻害して、他の行動を引き出す「合図」がやまほどあるわけです。
私たちが犬をトレーニングするときにうまくいくコツの1つは
「言葉の合図(意図した合図)」と
「言葉以外の合図」があることに目を向けることです。
なぜなら
「言葉以外の合図」の方が特定の行動と結びつきやすいことが多くあるからです。
上記の「合図」はトレーニングの邪魔になりそうに見えます。
ですが、実は生活を助けてくれる「合図」もたくさんあります。
いろんな刺激は、最初は「無意味の刺激」ですが
嫌な経験を通して「やめてほしい行動(問題行動)」を引き出してしまったり
楽しい経験を通して「いい行動を引き出す/行動を持続させる」のに役立ちます。
例えば
「ドッグドアがある(目からの情報)」→ドアをくぐる→「庭で散策できて楽しい♪」
「ドッグベッド(足からの情報)」→ベッドに乗ったら寝そべる→「居心地がいい」
「齧るオモチャ(目からの情報)」→オモチャを齧る→「きもちが落ち着く」
最初は「意味がない」合図が犬にとっての「嬉しい合図」につながったとき
宇宙人とのコミュニケーションに成功した気分!というと、大げさでしょうか。でも、言葉以外の会話に目を向けるのは、犬と一緒に暮らす時に必要な視点です。
「言葉以外の合図」の活用は、トイレトレーニングの場でも一役買っています。トイレトレーニングがうまくできている時、愛犬の周りで「何があるのか(もしくはないのか)」見守ってみるときっと成功率がアップするはずです。
---------------------
さて信号を見てはさっきまでイライラしていたトレーナーの馬場は
「信号待ちも悪くないなぁ」と、気分を切り替えることに成功した模様です。