November 15, 2021

活動のランキング

 みなさんがふっと頭に浮かべる「ごほうび」って何ですか?

疲れた時に食べるチョコレート(犬は食べれません。飼い主さんのごほうびの話です)
いいお肉のすき焼き鍋
温泉宿で食べる極上のお刺身定食
たっぷり卵のオムライス
焼きたてのクロワッサン(近くのパン屋さんに今から行こうかなぁ)
もやしが山盛りの横に大きなチャーシューが乗ったラーメン
挽き立ての豆でいれた珈琲

お休みの日にはたまの贅沢にこんなものを食べたい。
でも、先日の私のお休みで「休みいいなぁ」と感じたのはまったく別の場面。

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ここ数ヶ月私はお休みがちゃんと取れないままに、動き続けてました。

だんだん疲れがたまってきたのか
いつもは15分もあれば、書き上げているレッスンレポートを書く手が遅くなり…
仕事が終わらないので夜遅くまで起きている…
眠いので、ますます仕事効率は落ちて…

誰もが一度は経験したことがある(多分?)悪循環の状態です。

ようやく1日休みが取れた昨日
いつもより2時間ゆっくり寝てから相棒犬の散歩に行き、掃除機をかけ、いつもと同じトーストを朝ごはんに用意して。


その後に庭で日向ぼっこする相棒犬の横に腰を下ろすと、ふと頭に浮かんだのが靴洗い。
「そうだ!ずっと靴を洗おうと思ってたんだ!」

秋めいた涼しい風と、じりじりと背中に当たる日光。(今年は11月なのに、陽射しが暑い!)
横向きにごろんと寝転んで、日光浴を楽しむ相棒犬を見ながら、黒いスニーカーをブラシでごしごし。あっ、少し傷んでる。そろそろ買い替え時?なんてことをぼんやり思いながらようやく「今日は休みなんだ…」と実感がわいてきました。

靴を洗い終わって、水を切って日当たりのいい場所に置く。
それから相棒犬のぽっかぽかに暖まった背中に手を乗せてみる。
それだけのことがやたら嬉しい。

今日は、刺身定食のごちそうよりも、靴洗いをしながらの日向ぼっこの方が断然上。

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食べ物は、犬にとってもヒトにとっても行動の原動力になるものの1つです。
ただ、私たちが「食べ物のためだけに働いているわけではない」のと同じように
犬たちの行動の原動力も、食べ物だけではありません。

特に狩猟本能に基づく「狩り行動」は、犬が選ぶ行動として「優先順位」が強い。
狩猟意欲が高い犬もいれば、低い犬もいるかもしれない。
だが、まったくない犬はいない。


「狩り行動」は1つの行動ではなく、狩りに関わる一連の動作を指します。

①対象に気づき(Scan)
②対象の匂いを嗅ぎ(Scent)
③対象を目で追い(Stalk)
④対象を足で追いかけて(Chase)
⑤対象に飛びついて(Grab-bite)
⑥対象を持って運び(Possess)
⑦対象をばらばらにして(Kill-bite)
⑧対象を食べる(Consume)

気になる匂いがあれば、匂いを追う動きを引き出し
素早い動きがあれば、その対象を追いかける動きを引き出す

どちらも犬として自然な行動で、追いかけたり、匂いを嗅いだりする行動を「すべて禁止」することは、不可能です。ただ、お散歩中やお留守番中の「追いかけられない」状況では「(追いかけずに)止まる」、例えば「周りの匂いを嗅いだり」、「一旦止まって座る」などへの行動の切り替えが必要になります。

ただ、その前に強調したいことがあります。
お留守番課題であれ、お散歩課題であれ
「止まる練習(例えばオスワリ)」だけ頑張ってみると、うまくいきません。それはたとえおやつがあっても、活動のランキングを無視しているから。

必要な活動が充足されていなければ
大好きな食べ物も、うれしくない。

そして、必要な活動は、犬と人とでは異なることも、再確認してみて下さい。
犬にとって必要な狩り活動は、お散歩時にぐいぐい引っ張らなくても、お留守番時に家具をバラバラにしなくても、満たす方法はあります。

まずは、愛犬と1対1で過ごす時間を1日に確保してみて下さい。
苦手なものがあるコも、必ず「落ち着ける場」と「楽しく取り組める狩り行動」は見つけられるはずです。
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参考資料
「Hunting Togather」
Simone Mueller (著)

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