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2025年1月16日

違和感は「知らないこと」に気づく通り道

 「お赤飯は、炊くよりも蒸して作らなきゃ美味しくできないのよね」

その日、私は相棒犬の散歩でよく行き会うご夫婦と一緒に歩いていました。

 


お祝い事のお赤飯の話を聞いていた時、私はなんの違和感なく聞いていました。その後「蒸す」という言葉に、改めて気づいたのは「お餅も同じなのよね」とその方が続けたから。

 

水を入れて、お鍋で強火、水が沸いたら弱火で「炊く」のがお米。

お赤飯は浸水するけれど、お水を切って、蒸し器で下からくる水蒸気で「蒸す」

白ご飯とお赤飯は作る過程が違うのです。

 

きっと知っている方にとっては、何でもないことで、違和感がなくて普通です。でも、私は知らなかったから「違和感がなかった」んです。

 

こんにちは。トレーナーの馬場です。

普段は、家庭犬のお散歩課題や室内マナー、お留守番練習のお手伝いをする仕事をしています。

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知らなかったら、違和感がない。

これは犬のボディランゲージについても、同じことが言えます。

 

黒目がちな目で飼い主をじっと犬が見つめる時、必ずしも犬が「嬉しい」わけではない。

あくびをしている犬が、必ずしも「眠い」わけではない。

 

犬が身体を掻く動作をする

足先をなめる

舌をちょっと出して口の周りを舐める

ベッドを掘るような動作をする

 

こうした動作は、その状況によっては「カーミングシグナル」、犬が自身を落ち着かせるために無意識にする動作であることがあります。

 

ヒトが緊張したときに髪の毛を触ったり、唇をなめたりするのと似ているかもしれません。ちなみに、先月のインフルエンザのワクチン接種の際に、私はそっぽを向いて目を細めていた記憶があります。

 

私自身の動作がカーミングシグナルかどうかはさておき、愛犬が不安解消の時の動作の話にもどりましょう。「不安解消のための」と捉えずに、「愛犬がよくする仕草」として思い浮かべるなら1つや2つはすぐに挙げられるのではないでしょうか?

 

それらは、「不安サイン」というくくりにしなければ、違和感のない風景なはずで、多くの場合は、特に注目する必要もないかもしれません。

私が取り上げたかったのは、注目する価値がある不安サインもあるからです。

 

例えば、人を見て前足が小躍りしながら小刻みにジャンプ。ヒトが1歩近づくと、跳びながら下がります。一見じゃれているような動作の子犬。この時、犬が伝えたい言葉は何でしょうか?

 

知らなければ気づかない小さなボディランゲージは、いくつもあって、私自身もトレーニング中に「犬たちが見せる言葉」を見誤ったり、見落としたりして「そういえば、さっき…」と後から気づくことがあります。それでも、毎日、小さな仕草を書き留めては、前回の訪問時との違いに目を配っていると、飼い主さんに伝えられることが年々増えてきています。

 

新しい年を迎えると、今年の目標なんてものを掲げてしまいますが、毎年思うことは同じ。もっと犬のボディランゲージを「飼い主さんと共有できる言葉」として見える化していきたいです。

 

耳の位置や動きはどうですか?

目の大きさは?

身体の動きは、どういう時に柔らかいですか?どういう時に硬いですか?

四肢は地面に対してどんな角度でしょう?

しっぽの揺れはゆっくりですか?早いですか?

 

あなたがそれに対してどんな仕草をした時、そのボディランゲージは継続しますか?

それともそのボディランゲージ以外の「動作」を愛犬は選択しますか?