こんにちは。トレーナーの馬場由紀子です。わたしは普段、愛犬の室内マナーや、お留守番トレーニング、お散歩練習のお手伝いをしています。
見習いトレーナーの時代、私は「言葉の指示は1回だけ」と教わりました。
”絶対に1回で行動を引き出せるようにすること”
当時の私は、うまくできなくて、四苦八苦。特に怖がりなシェパードを担当していた時には、言葉を使った練習を繰り返しては、失敗して、自信をなくす。
代わりに私が習得したのは「ハンドシグナル」でした。手の合図で動きを引き出せるなら、何度も言葉を言わなくてもいいし、何より担当していた小柄なシェパードが、私の動作に合わせて動く時に、ちょっぴり得意そうな顔を見せてくれるのが嬉しかったからです。
「言葉なしでできる動作」や「犬が自主的に選ぶ動作」の存在は、犬の自主性を重んじたり、伸び伸びした動作につながり、私がこの職業を選んだ基盤になっています。
そんなある日、私は、お伺いしたお家の飼い主さんの言葉にふと自分の方針の矛盾点気づきました。
「犬が犬らしくいれることが一番だから、しつけをしたくなかったんです」
と口にした飼い主さんは、その後こう続けました。
「トレーニングとは、飼い主が犬に指示をすること」だと思っていたと。
確かに私も同じ様なことを考えていた時があった…と冒頭の見習い時代の担当犬さぶろうのことを思い出したのでした。
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若かりし頃と違って、私はレッスンで「言葉でできる行動」の要素もたくさん提案しています。なぜなら「言葉で動作を引き出す」ことは、事故を防いだり、犬の自信をつけるのにも役立つからです。
「来客がいなければ落ち着いています」
「早朝のお散歩では人に会わないから困らないのだけど」
は、愛犬の周りには多すぎる「情報」があって、愛犬が困っているだけ…そんな風に気づいた飼い主さんの言葉なんだと思います。
「来客」や「お散歩時に会う人」は愛犬にとっての多すぎる「情報」の1つと仮定してみて下さい。これらの情報の波に飲まれて、どの行動を選択したらいいかわからなくなっている時、飼い主さんが「こうしてみたら?」と提案できるのは、決して軍隊みたいな「指示」ではないはずです。
情報過多は、最近私達の身の回りにもよく起こっています。
無料の情報は山ほどあって、有益な情報も手軽に手に入る。でも、情報が多すぎるからこそ、どれを選んだらいいかがわからなくて、結局行動できなかったり、間違った行動を選んでしまったりすることは、人間でもあるのではないでしょうか?
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相棒犬が好きなお昼寝とひなたぼっこに付き合いながら、「情報過多に向き合う方法」…なんて難しい四文字熟語を頭に浮かべました。
冬でも昼間はぽかぽかの芝生。
芝生に背中から寝転がっていた相棒は、上空の音に顔をむくりとあげました。私も並んで空を見上げると、かすかに聞こえる音と共に、飛行機が横切っていくのが見ました。