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2018年9月10日

鼻タッチの練習を、すこし気軽に取り組む方法

「鼻タッチ」は、犬が鼻で人の手を押す行動のこと。
わざわざ教えなくても、なんとなく生活の中で甘えてくるしぐさの1つで
定着している子もいるかもしれません。

私は個別レッスンで、この行動「鼻タッチ」の練習に特に力を入れています。
教えなくてもできるのに、あえて「教える」には訳があります。

まず、鼻タッチは犬の向きを変えるのに役立ちます。
オスワリ一つをとっても
そっぽ向いてオスワリと
飼い主の方を向いてのオスワリと
飼い主の横で同じ進行方向を向いてのオスワリ
ちょっとイメージしてみるだけでも違ってくるのが分かります。

また、鼻タッチは人との挨拶練習にも使えます。
元気過ぎて飛びついてしまうコの、マナー習得の一環に活躍することもあれば
怖がりワンコにとっての、緊張しにくい挨拶の導入にも活用できます。

また私がかつて
「いいな♪」と感じたのは、私と相棒犬がボール遊びが下手っぴな頃でした。 
実は、犬が「鼻タッチ」を知ってると
ボールを人の手元まで運ぶことが教えやすいんです。

もし愛犬がボールを足元まで運ぶ、膝のあたりまで持ってくることができるならば
そこを1歩進んで「手元まで運ぶ」に、ちょっと挑戦したくありませんか?
私は、相棒犬が私の手元まで物を運ぶコツをつかんだ時、なんだか嬉しかったです。
(相棒犬は今、私以外の人の手元に物を運ぶ練習に取り組み中です)

さて、そんな鼻タッチ。
実は「教えよう」と身構えると、犬も身構えます。
なので、最初は手からフードをあげてみるだけでいいと思います。

鼻タッチは、オスワリの姿勢でなくても練習できるので
オスワリが得意でない子も練習できます。
まず右手におやつをこっそり持って犬の側に腰を下ろします。
飛びついてくるコの場合は犬の前足が床に着くまで待ってみます。

それから手からおやつをあげてみて
犬がどういう反応を取るか観察してみましょう。

この練習、もしかすると
オスワリが得意な子の方こそ戸惑うかもしれません。
例えば、おやつをいつもきっちり「オスワリ・マテ」のパターンでもらう子の場合
手からあげようとしても「よし!」というまで食べないかもしれません。

そんな時は、最初は
「おやつを持った手を出す」→「よし」→「食べる」で構いません。

でも5回続けてできたらならば
「おやつを持った手を出す」→「食べる」という形ができないか試してみましょう。
その時、おやつを持った手を、犬が食べやすい位置に運ぶのがコツ。

最後に、目標とする犬の状態をお伝えしますね。
・食べ終わった後、嬉しそうにママを見上げる
・でも、次のおやつをねだって飛びついては来ない
この状態ができれば、合図で鼻タッチをマスターする準備はばっちりです。

「鼻タッチ」の練習は、犬が楽しく食べることができればできるしつけの基礎なんです。

「犬が楽しく食べること」
そんなことがどうしてしつけの基礎なのか
疑問に思われる方もおられるかもしれません。

犬は緊張していると食べなくなることがあります。
また犬は興奮しすぎている時も、食べられなかったり
食べ方が荒っぽかったりします。

どんな練習を取り組むにしても
犬が緊張したり、興奮しすぎていれば
教えている行動が定着することはあまりありません。

だから「楽しく食べる」って、犬が人と楽しく暮らす上で大事なスキルの1つなんです。

※食べ物に興奮しすぎておやつを持った手に痛いほど歯が当たる、または飛びついて強く咬んでしまう場合、もっと細かいステップが必要です。信頼できるトレーナーと一緒に練習するようにしましょう。