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2018年8月27日

この夏あった、私の「痛い思いから学ぶ」

先月、「ブーン…」というアブか何かの羽音がすぐ傍で聞こえました。
音のする方に目を向けると
黄色っぽい何かが私の肩の傍を飛んでいます。

「怖い」と考えるよりも先に腕が動きました。
振り払う私の動きのその3秒後「ちく…」と小さな痛み。
虫よけに薄手のパーカーは着ていたのですが、どうやら服の上から刺されたようです。

「大変だ、蜂に刺された!」という焦りと
「あまり痛くない気がする。慌てるな」と葛藤する10分。
その間にも腕には強烈な痛みが襲ってきました。

結果から言えば
私が刺されたのはスズメバチよりも少し大きい、あしなが蜂で
傷の腫れも痛みは、翌日にはひきました。

ただ、あまりにも怖かったので
私は、知人友人に話して周りました。
「蜂に刺されて本当に怖かった。蜂が傍に来た時は振り払ってはいけない」と。

ご存知の方もいるかもしれませんが
スズメバチも
あしなが蜂も
住処の側に近づく動物に対してまず偵察する習性があります。
その動物を「実際に危険」と判断したならば攻撃を開始しますが、やみくもに刺すことはしません。

そのため、偵察蜂がもしも傍に寄ってきたならば
慌てずにゆっくりと
その場を立ち去ることで
刺されずに済むことがあるそうです。

それから1カ月後。
私は相棒犬と歩いている途中に
再度「ブーン…」という音を聞きました。
振り払いたい気持ちを押し殺し、ゆっくり目を向けると黄色っぽい蜂の姿。
それも、前回見た蜂よりも小さい、つまりスズメバチのようです。

動かないでそぉっと様子を見ていると
なんと2匹目の偵察蜂が近づいてきました。
2匹の蜂達は「ブーン…ブーン…」と羽音をさせながら私の上半身の周りで飛んでいます。
片方の蜂が私のカバンに止まった時には、私は一瞬頭が真っ白になりました。

悲鳴もあげず
蜂を叩き落すこともせず
そろそろとその場を離れた自分はえらいなーと思います。

私はカバンを持ったままゆっくり歩き
犬をそぉっと呼び寄せ
スズメバチたちから無事に離れることができました。

あしなが蜂に刺された経験から
私はスズメバチを回避できた。
つまり痛い思いをして「学習した」わけです。

ここで、ちょっとだけ
犬を「叱ってしつける」という考え方のもとになる
行動に伴う「痛い・嫌な事」→その行動の自発的頻度の減少
という部分に目を向けてみます。

嫌なことを回避する能力は
慌て者の私、馬場にも備わっていて
1回の痛い思いで、今回は「蜂を叩き落す」危険な行動をしなくなりました。

そう考えると「痛い思い」は決して悪いものばかりではないのでしょう。

一方で
もしも、私が最初に刺された蜂が1匹のあしなが蜂ではなくて
10匹のスズメバチであったら
同じ「嫌な思い」でも、「おおごと」すぎて「学習」どころではないかもしれません。

また、2度目の蜂遭遇時に
50匹の蜂に周りを囲まれてしまったとしたら
おそらく冷静に行動することは無理だったと思います。

変な例えであることは重々承知の上で
犬のしつけで受ける相談の1つ
「叱ってもやめてほしい行動が減らない」状況と比べてみました。

犬が繰り返し繰り返し叱られる状況は
たくさんの蜂がぶんぶん飛び回っている状況に似ているのかもしれません。
蜂が傍に来た時、冷静に考える余裕がなければ、きっと全速力で逃げようとして
腕をやみくもに振り回すかもしれません。
その蜂の数が多ければ多いほど、もっと慌てます。

また、正しい行動(偵察蜂の場合は、そぅっとゆっくりその場を離れる)の選択肢を知らなければ、やっぱりどうしてよいのかわからないから
腕を振り回すのではないかな…と思うのです。

また、「うちの犬は叱ったらイタズラをやめたのに」と
お友達に言われて悩んでいる方には
そういう学習ももちろんあるので、間違っているわけではないけど
すべての状況に当てはまるわけではないことを知っておいてください。

ちなみに、蜂に関しては6月から10月は活発に活動する時期です。蜂が巣を作りやすい場所は避けて歩くのが鉄則です。私は、森林公園内の遊歩道に設置された展望台でスズメバチに遭遇したので、展望台にはしばらく近づかないでおこうと思っています。