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2019年1月28日

専門用語に馴れよう1(二次強化子とトイレトレーニングの関係)

犬のトレーニングでよく使われる「ほめる」という概念
そもそも「ほめる」とはなんぞや?と疑問に思ったことはありませんか?

犬のトレーニングで私たちが
「おりこうだね!」「いいこだね!」「Good Boy!」とかける声かけを
難しい言葉で表現すると
『二次強化子』
になります。
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『二次強化子』とは 
元来は意味を持たない、音や光などの刺激が
生得的に好ましいもの(たとえば食べ物など)と結びついたために
動物の行動に変化をもたらす刺激として意味をもったもの。
意味付けをされたという意味から「条件づけされた強化子」とも呼ばれる。
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具体例を出すなら
パブロフの犬のベルの音
飼い主が愛犬をほめる声

などが挙げられます。

実はこの『二次強化子』は
『生得的な強化子(たとえば食べ物)』よりもトレーニングにおいて重要
な側面が2つあります。


1つ目はタイミング
トレーニングには、タイミングが大事で
二次強化子はそれを伝えるのに役立ちます。

例えば
トイレトレーニングの一場面を見てみましょう。

室内に設置したトイレで愛犬が上手におしっこできました。
そうだ!ごほうびおやつを取りに行かなきゃ…と台所にバタバタ走るママ。
ママは「ごほうび=たべもの」であると考えているからです。
(それは間違いではないのですが…)

走るママを追いかけるワンコ。
台所で美味しいフードをもらいます。
とてもうれしそうです。
この場面で特に悪いことはなさそうなのですが、1つ注意が必要です。

この時ママは「おしっこをトイレでできたこと」を褒めたつもりでも
ワンコが学習したことは
「走るママは追いかけるべし」かもしれないし。
「台所はおいしいものがある」かもしれません。

部屋を出るママを執拗に追いかける行動は
こうしたタイミングのずれが原因で起こることがあります。

トイレトレーニングで「うちのコできた!すごい!ほめよう!」と思った時は
まずママが落ち着いて「いいこね」とゆっくり声掛けしてみましょう。
慌ててごほうびを取りに走らなくても大丈夫です。

「二次強化子」もう1つの役割は
「飼い主さんと犬との関係づくり」です。
トレーニングとは「犬と人の会話」であると考えてみるといいかもしれません。

犬のトレーニングは
犬がひとりで学習するものでも
飼い主がひとりで学習するものでもありません。

ごほうびが空から降ってくるよりは
「ママからもらうから嬉しい♪」
そんな関係づくりに役立つのが「二次強化子」つまりほめ言葉です。

「二次強化子」なんて言葉は、すぐに忘れても大丈夫ですが
(タイトルとは矛盾してしまいますが)
犬との会話に必要なのは
決して食べ物で行動をつることではないことは知って下さい。

会話に大事なのは
犬が大好きなものの「前」にある
飼い主さんからの落ち着いた声や振る舞いです。