「犬が自然にとる行動をできるだけ妨げない」
ことは、私自身が常に頭に置いていることです。
ただ「自然な行動」とは、さも正しい言葉であると同時に
とても漠然たした表現です。
・吠える行動も自然
・齧る行動も自然
・飛びつく行動も自然
・飛びのいて逃げる行動も自然
と考える方もいるかもしれません。
そうであれば
短いリードで止めた時に、犬がイライラしながらリードを咬むことも
短いリードで止めた時に、リードがずっと張りっぱなしになることも
自然であるという認識の方も、私が思うよりもずっと多いのかもしれない。
犬が物理的に自由に動けることと
「自由に動ける感覚」は
異なっているのではと思います。
1つの例になりますが
先月、屋外の合同レッスンで
【お互いのワンコが、落ち着ける距離感を】
とお伝えした時、とても印象に残る質問がでました。
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合同レッスンでは
複数のワンコたちが一緒に歩く時間を取ります。
複数のワンコたちが一緒に歩く時
リードを止めても
すぐに緩む(だから落ち着く)ワンコと
リードを止めると
繰り返し後ろを振り返ったり、リードを咬んだりを繰り返し
リードが張ったままのワンコと
がいることに飼い主さんが気づかれました。
その方は元気なコーギーを連れていました。
「相手(他の犬)が嫌がることはしたくない」
でも「愛犬のリードが張るのはよくない」
という矛盾に頭を悩まされている様子で、言いづらそうに疑問を口にされました。
『元気なコは
我慢を学ばなければいけないということですか?』
確かに、リードを短く持つと
そのコーギーさんのリードはぐっと張ってしまう。
怖がりワンコさんが嫌な思いをしないために
元気いっぱいのそのコーギーさんは我慢をするべき
という状況下であれば
コーギーさん(とその飼い主さん)は、その場に留まることはしたくないでしょう。
誤解を恐れずに言うならば
短いリードで「物理的には制限」があるけれど
「飼い主さんと自由に動ける感覚」は奪わないようにして歩くことで
コーギーさんのイライラ(我慢)はなくなります。
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合同レッスンで学んでいくことは「我慢」とは別物です。
我慢だけを繰り返していれば
元気なコであれ
怖がりなコであれ
落ち着いた行動は定着しにくくなります。
犬とのお散歩で何気なく選ばれるリード
長めのリードだからこそ
自由な動き
を作り出すこともできる。
その一方で
短いリードと
自由な動き(犬本来の自然な動き)
は両立することができるものです。
謎かけのような説明を口にしつつ
それが、共通認識になれば
もっと犬同士、飼い主同士の距離も縮まってくると思います。