January 11, 2021

ジャグリングとお散歩の関係

「寒い!寒い!寒いぃぃぃ!!」ぶつぶつつぶやく…。

「寒い♪寒いっ♪さむ~い♪」と歌ってみる!

変化はないのはわかっていても
気づくとひとりごちている凍える朝のお散歩。

てくてく歩く相棒犬の隣を歩きながら
足の指先の感覚がなくなって
体全体の動きも固くなっているのを感じます。

それでも手や肩がかじかんでしまわないように

お散歩前には姿勢を一回正して肩回しをして伸びをします。

歩きながら両手をグーパーと動かして手が動くのを確認します。

自分の手の指が1つずつちゃんと動くのを確認するうちに、以前、聴導犬のトレーナーさんが私に繰り返し見せてくれた、コインローリング(コインを片手の上で転がすジャグリングの技)を思い出しました。

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私はアメリカに住んでいた頃、大学にい通いながら、休みの日は聴導犬のトレーニングの手伝いに保護施設に通っていました。口髭のあるトレーナーのフランシスさんは、マジックが好きで、お昼休みによくカードマジックやジャグリングを見せてくれました。

その日私は、聴導犬候補のチワワさんをマットに送り出すトレーニングの手伝いをしていました。リード着用での練習では、リードが張らないように気を付けなければならない。

頭ではわかっていても、私はその保護犬さんの動きを追うのが精いっぱいで、リードまで正直見ていられませんでした。短く持ち過ぎたリードは、ふいにぐいっとチワワさんの動きを妨げます。立ち止まったチワワさんは、後ずさる仕草を見せます。2回目のトライアルでのマットトレーニングの出来がどうだったかは…皆さんの想像の通りです。

「うまくできない」と悩む私に、フランシスさんは「こうしなさい」とは決して指示しませんでした。ただ、お昼ごはんの後に、1枚のコインを私に見せてくれました。

フランシスさんが片手でコインを転がすさまに目を奪われて、私は真似をして25セント硬貨を自分の手に乗せてみました。コインは何度繰り返しても床に落ちてしまい、私は直にあきらめてしまいました。

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コインローリングのスキルは私にはまだありません。ですが、彼がその時見せてくれたジャグリングスキルは、お散歩でリードの持ち替える時の、今の私の手の動きに似ています。

お散歩中、リードは引っ張りたくない。でも犬を慌てさせずに【リードを止める】スキルは必要です。犬を慌てさせずに止めるスキルは、リードがたるんだ状態を作るスキルに言い換えられます。例えば、お散歩時のリードを右手でギューッと握った後に、薬指と小指分だけ、力を入れて持っている箇所からすっと外すと、リードには、指1本分の余裕が生まれます。

犬のお散歩中の課題、吠えや引っ張りなどの問題行動は

・引っ張ってるつもりはないけど、リードは張っている
・引っ張りたくないけどリードが緩まない

状況に起きています。

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あの日、フランシスさんの愛犬、ピットブルの女の子が運んでくれたトランプのカードを手に握って、私は手品をじーっと見つめていました。マジックの種を明かせたら、トレーニング力があがるのではないかと思ったのです。結局マジックの種は破れなかったけれど、その時目に焼き付いた風景が、今なんだか自分を助けてくれています。

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白い息を吐きながら歩く朝、畑を走り去る子猫を追いかけようとした相棒犬。張ったリードから、薬指だけ放すと、相棒犬はふっと歩調をゆるめて、こちらをふりかえりました。

June 30, 2020

お笑い芸人の話をしていたら犬が落ち着いたはなし

トレーニングってハマると面白い。
犬にとっても。
ヒトにとっても。

できなかったことができることが面白いのかなと思います。

ヒトは犬に対して
『もう少しでできる…!がんばれ!』
と応援の気持ちで見守っています。

ところが、そのヒトの熱意は
時として、犬に対して伝わる時、違う風に伝わります。
なんていうか…【プレッシャー】という言葉が当てはまりそう。
犬がどうにも、いつもと違って動きが悪くなる場面を、ふと思い出した方もいるのではないでしょうか。

レッスンの場ではそんな緊張をリセットするのは
本来、トレーナーの私の役割のはずなのですが
時折、飼い主さんの機転に助けられたりします。

少し前の訪問レッスンのことです。
お家でもできるゲームの1つとして、【足くぐり練習】を始めて、3分。
ワンコの動きが著しく悪くなってきました。

…1歩1歩の動きが異様にゆっくり。
…こちらを見ない。見てもすぐに目をそらす。
…練習のスタート地点から、10センチ、20センチと離れて行く…。

「…ちょっとだけ、休憩しましょう」
と口にしたとき、私はどう気持ちのリセットしたらよいか
困惑していました。

そんな私の焦った気持ちをリセットしてくれたのは
他ならぬワンコの飼い主さんでした。

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「うち、家族でよくお笑い番組を見るんですよ。
最近の一番のお奨めはリンゴちゃんなんですが、知ってますか?」

「お笑いは私も好きですが、リンゴちゃんは初めて聞きます。
コントですか?漫才ですか?」

「動画見てみます?」

そうして、私は
高くて可愛らしい声で話す女装したタレントさんが
野太い声で海援隊の歌を熱唱するさまを見て、思わず画面をじっと見ました。
「…すごい…」
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飼い主さんも、私も
ちょっぴりトレーニングのことを忘れて談笑していました。
そうこうするうちに
ワンコは飼い主さんの横に敷いてあったマットにちょこんと座り直しました。

ヒトの目線が犬の行動に与える影響力って
多分、私たちが認識するよりもずっと大きいんです。

臭気追跡を行う作業犬のトレーニングにおいても、ヒトの目線によって犬の行動が左右された、言い換えると、作業を失敗した例は見られます。

アメリカの遺体捜索作業を手助けする作業犬についての著書で、カット・ワレンは訓練中のジャーマン・シェパードのソロの行動を、その例に挙げています。ソロは、特定の臭気の元にたどり着くと、オスワリをしてハンドラーに知らせるように訓練されていますが、ある訓練の日、原臭ではない場所で「偽の合図」を出します。
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ソロは首をひねり、宙返りするように飛び上がると、ゴミ箱の方に舞い戻ってきた。鼻をひくひく動かし、匂いを特定しようとしているようだ。おなじみの手順だ。私はソロに歩み寄って立ち止まると、ほれぼれと眺めた。ソロは私の目を見つめ、私はそこに立ったまま、ばかみたいにその目を見つめ返した。するとソロがいつもの座り込む合図の姿勢になり、うれしそうに私を見上げた。なんだか妙だ。
…それは私の過ちだった。誤ったタイミングで歩調をゆるめ、ソロを見つめてしまったことで、偽の合図を引き出してしまったのだ。無意識のうちにとはいえ、本来はすべきではないことをするよう、そそのかしたことになる。 
(カット・ワレン, p190)
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その後の訓練によって、ソロは、「人の視線に対する抵抗力(p193)」、つまりハンドラーや周りの人が彼の作業に注目している時にも、作業の集中を切らさない能力を培っていきます。

しかしながら、ソロのハンドラーのカット・ワレンは、特定の場所を捜索する時、ソロが遺体の痕跡などの臭気に集中できるよう、一緒に働く捜査官たちに少し離れた場所で待機してもらうよう、頼むこともあるそうです。

家庭犬のトレーニングにおいても、家族や来訪者の視線が
犬の特定の行動をうっかり引き出していたり、その行動を続けさせてしまっているようなことはあるのでしょう。私自身、相棒犬、そして他のワンコたちと向き合う時、自分の視線を意識している時と、無意識の視線があるなぁ…とその日のことを思い出しました。

隣で鼻をぴくぴく動かしながら昼寝をする相棒犬にふと目を向けると、白目をむいて寝ているのですが、仰向けです。「変な犬だ…」と独り言ちながら、私は再度机に向き直りました。

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参照
「死体捜索犬ソロが見た驚くべき世界」
カット・ワレン(著)
日向やよい  (訳)
出版社:エクスナレッジ
発行年:2014年5月
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April 30, 2020

「明日やるよ。すごくやるよ。」

非日常が1ヶ月半経ち、2ヶ月になり
当初は防災放送に「わぉーん・・・」と遠吠えしていた相棒犬は
片目だけ開けてから、再度寝るようになりました。
横向き寝ころんだ相棒犬は、頭がベッドからずり落ちています。

ただ、私自身は、大音量の10時の防災放送に馴れなくて、毎回頭を抱えます。
何かをやっていても
どんなに集中して組んでいても、どうも気がそぞろになります。

休みの日ならば
気分転換に本を読もうとするものの
難しい推理小説や長編ものだと、こちらも集中できず。

うーん…とうなった私はこう唱えます。
「明日やるよ。すごくやるよ」
3回こう唱えて、えいやっと足を投げ出して深呼吸。
肩を2回後ろに回して伸びをします。

「明日やるよ。すごくやるよ。」は絵本作家のヨシタケシンスケのエッセイにある言葉。
著者が言うように、自分を甘やかす時にすごくいい呪文です。
特に「すごくやるよ」の含みに、ちょっぴり気分が切り替わります。
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「思わずかんがえちゃう」
著者:ヨシタケシンスケ
出版:2019年
出版社:新潮社









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がんばれない時に、頑張ってみてもしんどい。
犬のトレーニングもさぼりながら
犬の勉強もさぼりながら
部屋の掃除もさぼって
庭の草むしりもさぼって

えーいと足を投げ出して
あまり頭を使わない本に手を伸ばします。
柴犬のイラストをぼんやり眺めて、時おり私は、にやりとします。

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「犬がうまれる」
著者:雲がうまれる
出版:2018年9月
出版社:ワニブックス






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空いた時間にずっと休んでいるわけにはいかない。
でも、休める時に、休むことも、大事なことなんだと
相棒犬に教わりながら今の時期を乗り切っていきたいと思います。

February 13, 2020

犬が「自由に動ける感覚」と「物理的な自由」は異なること

犬同士のコミュニケーションをよくするために
「犬が自然にとる行動をできるだけ妨げない」
ことは、私自身が常に頭に置いていることです。

ただ「自然な行動」とは、さも正しい言葉であると同時に
とても漠然たした表現です。
・吠える行動も自然
・齧る行動も自然
・飛びつく行動も自然
・飛びのいて逃げる行動も自然
と考える方もいるかもしれません。

そうであれば
短いリードで止めた時に、犬がイライラしながらリードを咬むことも
短いリードで止めた時に、リードがずっと張りっぱなしになることも
自然であるという認識の方も、私が思うよりもずっと多いのかもしれない。

犬が物理的に自由に動けることと
「自由に動ける感覚」は
異なっているのではと思います。

1つの例になりますが
先月、屋外の合同レッスンで
【お互いのワンコが、落ち着ける距離感を】
とお伝えした時、とても印象に残る質問がでました。
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合同レッスンでは
複数のワンコたちが一緒に歩く時間を取ります。

複数のワンコたちが一緒に歩く時

リードを止めても
すぐに緩む(だから落ち着く)ワンコと

リードを止めると
繰り返し後ろを振り返ったり、リードを咬んだりを繰り返し
リードが張ったままのワンコと

がいることに飼い主さんが気づかれました。

その方は元気なコーギーを連れていました。
「相手(他の犬)が嫌がることはしたくない」
でも「愛犬のリードが張るのはよくない」
という矛盾に頭を悩まされている様子で、言いづらそうに疑問を口にされました。

『元気なコは
我慢を学ばなければいけないということですか?』

確かに、リードを短く持つと
そのコーギーさんのリードはぐっと張ってしまう。
怖がりワンコさんが嫌な思いをしないために
元気いっぱいのそのコーギーさんは我慢をするべき
という状況下であれば
コーギーさん(とその飼い主さん)は、その場に留まることはしたくないでしょう。

誤解を恐れずに言うならば
短いリードで「物理的には制限」があるけれど
「飼い主さんと自由に動ける感覚」は奪わないようにして歩くことで
コーギーさんのイライラ(我慢)はなくなります。
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合同レッスンで学んでいくことは「我慢」とは別物です。
我慢だけを繰り返していれば
元気なコであれ
怖がりなコであれ
落ち着いた行動は定着しにくくなります。

犬とのお散歩で何気なく選ばれるリード

長めのリードだからこそ
自由な動き
を作り出すこともできる。

その一方で
短いリードと
自由な動き(犬本来の自然な動き)
は両立することができるものです。

謎かけのような説明を口にしつつ
それが、共通認識になれば
もっと犬同士、飼い主同士の距離も縮まってくると思います。

January 4, 2020

お正月の過ごし方

1月3日は、馬場家のお正月休み。
今年、私は「寝正月にする!」と宣言しました。

二度寝してから、お餅を食べ
お昼にほど近い時間に、相棒犬を連れ出して、ぽかぽかと暖かい中のお散歩。
いつもは静かな住宅街に、車がいっぱい停車中です。
「名古屋」「福島」と記されたナンバープレートを見ると
住んでる場所なのに、旅してるかのような錯覚を覚えます。

帰省中のご家族がいっぱいなんだ…と見渡すと
公園でも、凧やバトミントンが飛び交うのが見えます。

相棒犬を連れて公園に立ち寄ると
小学生の女の子がこちらに寄ってきました。
相棒犬をじっと見ながらも、どう近づいていいか戸惑った様子の女の子。
「しゃがんでみて。きっと仲良くなれるから」
そんな風にお願いしたところ
女の子は、神妙な顔で私の横にしゃがみます。
相棒犬に向けられていた目線が、私の方に向きます。

じっと見つめて近づいてくる女の子に
最初は思わずその場を一旦飛び退いた相棒犬は
再び女の子に接近。今度はゆっくり匂いをかいで確認します。

傍のベンチに座っているおじいちゃんが
にこにここちらを見ているのが見えました。

「初めて会う時、犬を撫でようとしないでね。
今みたいに、相手が近づくのを待つと仲良くなれるよ」
と伝えると

「触られると、怖いのかな?ドキッとするの?」
と聞かれました。

【怖い】よりも、【ドキッとする】の方が、ぴったりの表現だなぁと思い
「うん、ドキッとするんだと思う」

私が公園を囲む塀に腰かけると
相棒犬と女の子が横に座りました。
私は、女の子から
「カナブンとカブトムシの幼虫の見分け方」を教わってから別れました。

家に帰ると
再び、長座布団で丸くなる相棒犬。
今年も、トレーニングはびしばしと…!
ではなく、トレーニング後は良く寝るコ!を目標に、がんばりたいと思います。

特に、パピートレーニングでは
子犬がぐっすり寝ることと、トイレトレーニング
の2つは最優先事項にしたいなと思ってます。