October 3, 2019

困った行動の解決の前に、共通語を作ろう

こんにちは。トレーナーの馬場です。
今回のコラムは
ちょっと理屈っぽい話から始めます。

行動学という学門の学習理論についてです。

犬はいい結果が伴うから、行動を繰り返すというという理論
犬は何か嬉しいことが伴うとその状況(や周りにいる人)を好きになるという理論
(補足すると、どちらも「嫌なことが伴う時の学習」もあります)

犬の問題行動に対して、きっちりと行動学に実際の状況を当てはめると「なんか変」と感じることがあります。

私は特に
・犬が物や特定の場所を守る行動
・犬がリードを引っ張る行動
の2つは
力任せの手法でも、食べ物で釣る手法でも、問題を解決できないなと思います。

「犬は生き物だから理論(概論)に当てはまらない状況があるのは当たり前!」
そう思う方もいるかもしれません。

その通りです。
そして「理論だけだと解決しない」といいつつも
私は「例外はあるけど理論は使おう!」と思うのです。

私が訪問レッスンでお伺いする時
飼い主さん自身にも理論をお伝えするのは
問題行動に取り組む前に
犬と飼い主の間に、1つの共通語を作るためです。

簡単な例を言えば
「オスワリ」という言葉に対して、犬が座ったり
「ぽち」と名前を呼ばれたときに、こちらを向いたり
ドアが開いても「待って」と声をかけたら、その場で止まることができる

そうした犬とヒトの双方が同じ意味で使うことができる言葉を作るためです。
(「人と犬との共通語づくり」は関西でトレーナー業をしている先輩の言葉で、私も好きな表現の1つです)

吠えた、咬んだ、そうした行動をとった犬に対して
犬に伝わらないままに飼い主さんが怒鳴っても
人の言葉を理解できないまま、犬が吠え続けてしまうことがあります。
中には、飼い主さんのとった行動に余計慌てて、攻撃的に見える行動を選択しているような場面もあるかもしれません。

出血を伴う咬みの問題のような、深刻な問題で頭を悩まされていると
「どうしてオスワリの練習が必要なんだろう…」
「フセなんかできなくても、困らないのに…」
「災害対策のためのクレートと言われても、今はそれどころじゃないのに…」
ふとそんな疑問が浮かんでくると思います。

犬の問題行動に頭を悩ませる時
「まず問題だけをなくしたい」と感じること自体は間違ってはいないのですが
犬とヒトの会話が成り立つ基盤ができていたら
問題解決もずっとスムーズに行くと思うのです。

トレーニング(行動を教える)のが大事なのではなくて
トレーニングを通して作る「共通語の構築」が大事なのだとお伝えしたいです。

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参考までに「オペラント条件付け」について追記します。
これは4つの学習をシンプルにパターン化して表現したものです。
犬のトレーニングにも活用できる場面がいくつもあります。

(特に何もない状態から)
「行動」後に「うれしいこと」がある→その行動の頻度が増える
※例)オスワリしたら、おいしいおやつをもらった!

(うれしいことがある状態から)
「行動」後に「うれしいこと」がなくなる→その行動の頻度が減る
※例)ママの手を咬んだら、ママがオモチャ遊びをやめてしまった…

(特に何もない状態から)
「行動」の後に「嫌なこと」がある→行動の頻度が減る
※人がしてほしくない行動をしたとき、叱るべきの考えの元になるものですが、大きな問題点があります。犬は嫌なことが起きない状況、例えば飼い主がいない時のみ同じ行動を選択することがあります。トイレの失敗を叱ったが故に隠れてソファの後ろで用を足す状況は、その例かもしれません。

(嫌なことがある状態から)
「行動」の後に「嫌なこと」がなくなる→その行動の頻度が増える
※例)軒先につながれていた犬が、郵便屋さんに吠え続けたら、郵便屋さんが立ち去った。

September 5, 2019

トレーニング風景①


ももちゃん(トイプードルさん)
練習始めに、ももちゃんのお尻がほんの少し揺れているのは
楽しく練習できてる証拠ですね!

飼い主さんの手について動くことと
飼い主さんの手が動いてもその場で待つこと
マット練習では2つのスキルを育みます。


August 8, 2019

新しい練習科目に挑戦中

トレーナーの馬場です。

相棒犬と取り組んでいる新しい練習が2つあります。

1つ目は
「おばあちゃんの手に鼻タッチ」です。
私の祖母の差し出した手に
相棒犬がつんと挨拶しに行って
再度馬場の元に戻ってくるシンプルな動き

シンプルなはずなのですが、実は練習はうまくいっていません…。
相棒犬は
目をそらす
耳を後ろに倒す
と次々に「練習拒否」のサインを出しており、それに対して落ち込む私。

やる気をなくす相棒犬に
やる気をなくすトレーナーの馬場
ですが、祖母だけは、なぜかやる気満々。

うーん…もしかすると、祖母のやる気が
相棒犬にはプレッシャーだったのかもしれません。

思えば、人の目線が苦手で
相棒犬がぎゃんぎゃん吠えていた時期があったので
なんとなく、「目線」に対しての耐性をつけるトレーニングは
私が避けていた部分があります。

毎日一緒に顔を合わせている家族や
しょっちゅう会うご近所の方には
うちの犬の「クセ」を理解してもらっているおかげで、あまり「苦手」に直面する機会がなかったのだなぁ…と改めて気が付きました。

また、特に「練習」という意図がなければ
祖母も相棒犬を凝視しなかったかもしれません。

祖母との練習には、相棒犬の動き(行動)だけに集中するよりも
練習の組み立てと、協力者にどう頼むかを考えなおした方がうまくいくかもしれないと思案中です。


2つ目の練習は「車庫入れ」です。
イヌが運転する…わけでは、もちろんなくて
イヌがヒトの足の間でオスワリ/フセをする技です。
いうなれば、飼い主の足元を【簡易クレート】に見立てた練習です。

少し難易度が高いのですが
それは、イヌがヒトが向き合っているのではなく
イヌとヒトが同じ方向を向いている点。

ですがこの動きを細かく分解していくのが
私にとってはちと面白い。
「車庫入れ」は実は1つの動きというよりも4つの動きが組み合わさっています。

1つ目は「スピン」
イヌがヒトの前でゆっくりと楕円を描く動きをします。
(この時は最初はイヌとヒトは向き合っています)

2つ目は「立ってマテ」
イヌがヒトに背を向けた状態で、立ち姿勢で止まります。
(この時は向き合ってません)

お次は「バック」
ステップ2の立ち位置をスタート地点とし、ヒトの足の間まで下がります。
(この時も向き合っていてません)

最後の動作は「フセてマテ」
イヌはヒトの足の間で足を崩します。
(この位置だと、イヌが人を見上げると、アイコンタクトが取れます)
目合ったでしょ!にやり!

私は、この練習の中で「背を向けた状態での立ってマテ」が一番難しいと感じました。

向き合ってする練習と
向き合わずにする練習では
向き合っていた方が指示は出しやすい。またイヌにとっても指示を読み取りやすい。

私は、相棒犬と向き合わずに「この位置で止まってね」と教えるために
最初はおやつ誘導を使いました。

そして、なるべくすぐにおやつ誘導をなくすつもりだったのですが…
ここで私は難儀します。

誘導用のおやつをなくすと
相棒犬はくるりとこちらに向き直ってしまう。

レッスンでは繰り返し繰り返し飼い主さんに対して
「おやつ誘導はなるべく早くなくしましょうね」
と言っているのに、
トレーナーの私自身ができないのでは面目が立ちません!(ちょっと焦ってます)

さて、相棒犬が新しい技2つを習得できたかどうか…は後日報告したいと思います。

今はまだ練習中。
「できない部分」にはちょっぴり焦りながらも
「できそうなこと」が見つかると
それが些細なことでも楽しいのはイヌもヒトも一緒かもしれません。

August 1, 2019

門越しに吠えていた犬が、吠えなかった時

お散歩中に相棒犬が吠える時
飼い主の私は(いまだに)少しだけ落ち込みます。

そんなこともあって、私は
相棒犬を連れて
犬が住む家の前を通る時には少しだけ意識していることがあります。

できれば距離を取ること
できればあまり急がないこと

うちの犬も
相手の犬も
どちらもあまり「ざわざわしない」すれ違いがいい。

門越しに犬が吠えるワンコのいるお家の
前の道が狭ければ、私はその道は避けるかもしれない。

道幅が広いならば
相棒犬が道の反対端を歩くようにします。
門から離れていれば、相手の犬もあまり気にならないかもしれない。

厳密なルールはないけれど、そんな風に思っています。

そんなお散歩をする中、今朝ちょっとうれしいなと思ったことがありました。
今まで私と相棒犬が道を歩くのを見ると、お庭の柵越しに吠えていたチワワさんが
こちらをちらりと見た後、そっぽを向いた。
吠えない。
チワワさんは、もう1度ちらっとこちらに目を向けた後、地面の匂いを嗅ぎました。

私と相棒犬が伝えようとしてた
『わたしたちは、あなたを威嚇しないですよ』
と似たしぐさをしている。
会話が成り立ったようで、でうれしかったです。

偶然か、気づかなかっただけではないか?
その懸念も翌日払拭!
翌日も、同じ仕草、今度はもう少し匂い嗅ぎが短かったように思います。

犬のボディランゲージを
人間がまねっこして伝えようとしても
なかなかすぐに伝わるとは限りません。

でも、犬のボディランゲージを読み取って
できるだけ、相手が緊張しにくい環境を作っていけたら
ワンコ同士が親しくなる前でも、「会話」ってきっと成り立つんだと思います。

私のとなりでたたずむ相棒犬は
小さく鼻を鳴らして
「ほんとはもう少し近くに行きたいけど…」と私の顔を見上げます。
(今度、公園で会ったら、飼い主さんに声をかけてみよ)と私はこっそり思いました。

July 8, 2019

コングを毎日使うのが面倒な理由

「コング」って名前は聞いたことはありますか?

コングは、犬用のオモチャで
フードを詰めて使う、知育玩具と呼ばれるものです。
犬が頭を使って食べ物を取り出すことを楽しむオモチャです。

私はパピークラスのカリキュラムに【コング練習】を組み込むことが多いです。
カリキュラムと言うと大げさですが
コング遊びは、子犬にとっては取り組みやすい活動だからです。

ですが…コングの利用は人間にとってはちょっとめんどくさい活動です。

何が面倒なのか…を少し書き出してみましょう。
1つ目:フードを詰めなければならない。

お皿にドライフードをざっと入れるのであれば、2秒あれば、終わります。
ですが、ドライフードをコングに詰めようと思うと30秒はかかります。
もしも、ワンコが食べ物に興奮しがち…な時期であれば
あえて用意に時間をかけるよりも、さっと出せば、一瞬で終わるので
コングを使用するのに二の足を踏む飼い主さんもいるかもしれません。

また、そうでなくても
一日の仕事でぐったり疲れている時
毎日やらなければいけない「作業」は10秒でも早く終えたいもの。
私は、仕事で疲れた日に
寝る前に着替える時に、「靴下を脱ぐのを省略しようか」と思う日がありました。


2つ目:コングでの食後に落ち着かないコがいる。

これはおそらくコングの難易度によるのではないかな…と思います。

ちょうどよい難易度だと
ワンコは「おれはやったぞ!まんぞくだ」
でいい活動になります。

もしくは簡単すぎると
ざっとひっくり返して2秒で「床がお皿?」という状況もあり得ます。

この場で取り上げたい状況は、難しすぎるケースです。
難しいとコングから食べるのを諦めてしまうコがいる一方で
中には「過集中」を起こすワンコがいます。
食べ終わってからも、まわりをくんくん嗅いでまわる。
うろうろ…うろうろ…歩き回る。
そんな時は食後に少しクールダウンの時間が必要になります。
ふだんのごはんでは、食後寝るのコも
コングで長く集中(たとえば、40分頑張って取り組んだ!)後は、トイレに行く必要がある子もいると思います。

犬が自分から落ち着けるためのツール、が本来の目的のコング。
ですが、そうではない状況もゼロではないわけです。
(少し話が横に逸れてしまいますが、コングのお留守番ツールとして使う前に、在宅時に使った方がよいのはこんなわけが潜んでいます。)


3つ目:食事に時間がかかる

ごはんに時間がかかるのを「デメリット」と挙げるのは
コングでごはんをゆっくり食べる「メリット」をまるっと無視するようで
心苦しいのですが、時間がかかるのは、やっぱり1つのデメリットです。

なぜなら犬の食事が終わっているかどうかを飼い主さんは確認する必要があります。
食事の食べ方(よく食べる・残す)は、愛犬の体調のバロメータの1つ。
食事を食べ終えたかどうかわからないまま、放っておくわけにはいきません。


4つ目:片付けが面倒。

コングは洗う手間がさらにあります。
お皿であれば、洗うのも簡単です。
ですが、コングは、古くなった歯ブラシで中をごしごし洗う必要も出てきます。

私が以前一緒に住んでいたトレーナーさんは
よくお皿洗い機にコングをそのまま突っ込んでいましたが
洗浄後に、奥に残っていたドライフードがかぴかぴになってる…!と気づき
洗いなおしていることもしばしばでした。

さて4つほどコングのデメリットを挙げました。
犬にとって「楽しい」活動が、人間にとって「大変」であると
なかなか継続して使うことができません。

そんな懸念がある場合は、まずは雨の日
家族みんながそろった日だけ、使ってみませんか?

・今犬育てで何が大変か
・どの作業を家族に分担してもらえるか

を家族のメンバーとちょっと話す間
ワンコが集中できる「お仕事」が作れるかどうか試してみるだけでいいんです。

デメリット1にあげた「コングを用意する間興奮してしまう」場合
3粒コングを用意する練習から始めてみてもよいかもしれません。
(3粒詰めるなら、お皿を用意するのと、きっと同じ手間です)

コングが簡単すぎて「瞬殺」してしまう場合は
コングのレシピを考えてみるのもお奨め。
レシピを考えるのは、実はけっこう楽しい作業です。

※ワンコがヒトから食べ物を守る(出血を伴う咬み)行動をとったことがある場合や
多頭飼いの場合は、安全面を確認しながら使用する必要がある点もつけくわえておきます。物を守る行動や、多頭飼いでのご相談は、メッセージからどうぞ。